内航海運「持続へ徹底した生産性向上を」「熟練船員退職で安全運航に支障懸念」

内航海運「持続へ徹底した生産性向上を」「熟練船員退職で安全運航に支障懸念」

国交省審議会で日本製鉄とコスモ石油の物流担当者が表明

国土交通省は10月11日、東京・霞が関の同省内で、交通政策審議会海事分科会の基本政策部会を開催し、船員不足などの課題を抱える内航海運の変革に向けて議論した。

荷主企業から日本製鉄とコスモ石油の物流担当者が出席し、製品輸送の多くを内航海運に依存している現状を説明。日本製鉄担当者は自社の事業を継続させるだけでなく、物流の国際競争力向上のためにも、内航海運業界が徹底した生産性向上を図り、日々の事業を持続させていくことへの強い期待を示した。

一方、コスモ石油担当者は熟練船員の退職で安全運航に悪影響が出ることを懸念、関係者で情報を共有して対応を急ぐ必要性があるとの見方をにじませた。


内航海運の変革を議論した部会

「管制センター」で航海の実績分析、課題が判明

日本製鉄の木村眞人参与・物流部長は、鉄鋼製品の国内輸送に関し、製鉄所から最初の着地までの1次輸送で約6割を内航海運に依存していることを紹介。今後も内航海運が持続していくためには徹底した生産性向上が重要との見解を強調した。

同社としても、海上輸送の効率化に向けた独自施策を進めていると説明。その一環として、今年7月に内航輸送の進捗状況などを一元的に把握し、データを蓄積・解析する「物流管制センター」を子会社の日鉄物流本社内に設けたことを明らかにした。

航海の実績を分析していった結果、特定の中継地で滞船が顕著になっていることや、品種によって港の荷役時間に大きな差が開いていることなどが判明したという。木村部長は対策として、トラックやトレーラーを搭載している荷物ごと運搬できるRORO船の導入などを検討していくことに言及した。

同社としても、船員の確保・育成に向けた支援制度導入などを今後も進めていくと述べた上で、「内航海運業界をリーダーにして、荷主企業のみならず国交省や地方自治体、港湾荷役事業者や倉庫事業者など多くの関係者の皆さまと連携・協働し、徹底的な生産性向上を進めていくことが大切」とアピール。併せて、先進技術の活用だけにとどまらず、既存の技術も最大限活用していくことを提唱した。

「長距離・大量輸送に優れ、重要な位置付けは変わらず」

コスモ石油供給部の松山幸弘物流グループ長は、傘下のコスモ海運が船舶41隻(うち自社船2隻)を運航し、国内62の供給拠点(油槽所)間で石油製品の内航輸送を日々展開している実情をプレゼンテーション。「長距離・大量輸送に優れる内航海運は重要な位置付け。石油はエネルギーの太宗かつ危険物という性質上、安全・安定供給がわれわれの最大の使命であり、今後も内航海運の位置付けは変わらない」と語った。

船舶のオペレーション会社や船主の経営トップらと「内航連絡会」を設け、定期的に意見交換を続け、荷役作業負荷軽減などを推し進めてきたと指摘。熟練船員退職に伴う安全運航への支障、船員希望者の減少、船主の後継者不足といった懸念があると表明し、対策が必要との姿勢を示した。

会合では、国交省建設業課の平林剛建設業政策企画官が、同じく人手不足が深刻な建設業の働き方改革を説明。限りある人材を有効活用するため、工事現場の技術者に関する規制を緩和するなどの取り組みを行っていると話した。


会合に出席した(左から)平林氏、木村氏、松山氏

(藤原秀行)

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