LOGI-BIZ記事レビュー・箸休め編①ガンダム秘密基地の工費、真剣に見積ったらしめて2532億円なり

LOGI-BIZ記事レビュー・箸休め編①ガンダム秘密基地の工費、真剣に見積ったらしめて2532億円なり

異彩放つ前田建設の業界PR活動「ファンタジー営業部」

※この記事は月刊ロジスティクス・ビジネス(LOGI-BIZ)2015年1月号で紹介したものを一部修正の上、再掲載しています。役職名や組織名などの内容は雑誌発刊当時から変わっている場合があります。あらかじめご了承ください。

準大手ゼネコンの前田建設工業が2003年から取り組むPR活動「ファンタジー営業部」が、建設業界で異彩を放っている。アニメに登場する架空の建築物の工費を見積もったり、50年後の百貨店の姿を描いてみたりと、活動内容は極めてユニークだ。

その根底には「建設業の魅力を多くの人に伝えたい」との熱い思いがある。柔軟な発想で、大真面目ながらも遊び心を忘れずアピールに努める姿は、建設業界と同じくイメージ改善を迫られている物流業界にも大いに参考になりそうだ。

「分からない時はやってみろ」がDNA

ファンタジー営業部は社内の技術系社員らが集まり、空想上の構造物を受注した場合、現在の技術と材料を駆使して本当に完成させられるのかを真剣に検討。工期や工費に加えて、その喧々諤々の議論の模様を自社のウェブサイトで随時公開してきた。

見積もりを手掛けた案件は「マジンガーZ」の格納庫や「銀河鉄道999」の地球発進用高架橋、「機動戦士ガンダム」の巨大秘密基地など多岐にわたる。最近では「宇宙戦艦ヤマト2199」の発進準備工事の費用はしめて1207億円なり、とそろばんをはじいた。


ファンタジー営業部で見積もりを出してきた案件一覧※クリックで拡大

真面目かつ奇想天外な活動はアニメファンらの注目を集め、同社のウェブサイトへのアクセスは徐々に増加。見積もりをまとめる過程が書籍化されたり、各地で講演会に招かれたり、舞台にもなったりと大きな反響を呼んだ。

ファンタジー営業部の発足に関わった一人、総合企画部の岩坂照之広報グループ長は「トンネル採掘など現場はとても面白い。そうした魅力を建設業に興味のない人に正しく伝えたいと感じた。そのためには今までにないことをやらなければ駄目だと思い立った」と当時を振り返る。

試行錯誤している時にふと浮かんだ「アニメの秘密基地を造ったらいくら掛かるだろう?」という思いが原点となり、ファンタジー営業部の活動の原形が出来上がった。社内の理解を得るのは容易ではなかったが、「分からない時はやってみろ」という前田建設のDNAが発揮され、最終的にゴーサインが出た。

岩坂氏は「透明性を持って建設業の内容を説明する一環になるね、と役員や上司が理解してくれた。突拍子もなさ過ぎたのがかえってよかったのかもしれない」と笑う。

これまで建設業としては土地勘のない著作権の問題をクリアするため、つてのないアニメーション制作会社に飛び込んで担当者に思いを説明し、作品の原作者からOKを得るなど、体当たりの行動はじわじわと社内外に理解者を広げていった。

「自ら動く百貨店」を提案

ファンタジー営業部の認知度が上がるにつれ、活動の幅が広がっている。ドミノ・ピザが話題づくりの一環として発表した月面への新規出店構想を見積もり、土地代を除いて1兆6700億円と計算。自動車の展示会では日野自動車のトラックと建設業界を同時にアピールするアメリカンコミック風の壁紙を作成した。さらに、ファンタジー営業部名義で、土木現場を舞台とした小説を雑誌に発表した。

12年には、東武百貨店の依頼を受け、工業製品のデザインを手掛けるフィアロコーポレーション(埼玉県新座市)などと連携し、50年後の「未来の百貨店」の提案をまとめた。商品を運ぶ大型トレーラーに売り場機能も持たせ、時間や場所、顧客に合わせて売り場のレイアウトや商品の入れ替えを自由にできるという大胆なプランだ。

岩坂氏は「普通の建設会社ではつくることのできない社外とのネットワークを得られた。リクルート活動にもプラスの影響が出ている」と強調。同時に「ファンタジー営業部は建設業界への入り口づくりにすぎず、次のステップも考えなければならない。物流業界の方々ともぜひお話をさせていただきたい」と語る。15年は新たに映画とのコラボレーションなどを計画している。


未来の百貨店として提案した売り場機能付きトレーラー(前田建設工業提供)
(藤原秀行)

※編集部注
今度は映画「ファンタジー営業部」が2020年1月31日から全国で公開予定です!

前田建設ファンタジー営業部3「機動戦士ガンダム」の巨大基地をつくる!

ファンタジー営業部のウェブサイトはコチラから

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