LOGI-BIZ記事レビュー・物流を変えた匠たち④オークファングループ

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“自動判定”倉庫が余剰在庫を解消する

※この記事は月刊ロジスティクス・ビジネス(LOGI-BIZ)2017年11月号「倉庫が変わる」特集で紹介したものを一部修正の上、再掲載しています。役職名や組織名などの内容は掲載当時から変わっている場合があります。あらかじめご了承ください。

余剰在庫や返品といった“訳あり品” を買い取り、自社の通販サイトなどで転売、インターネット通販事業者らのキャッシュフロー改善を支えるサービスを展開している。物流センターに日々大量に届く多種多様な商品の価値を自動判定し、的確に仕分けする独自システムを運用。業務効率化を果たしている。

常時2万アイテム超を扱う

東京証券取引所のマザーズに上場するインターネット関連企業のオークファンは2007年の設立後、中核事業としてネットオークションやネット通販で日々取引される商品の実売データを収集、分析・解析して独自の相場情報を提供するサービスを展開している。ネットユーザーや通販業者らが参考にしており、同サービスの専用サイト登録ユーザー数は70万を超えた。

10年間で蓄積した680億件超の取引データを、企業の卸・仕入れを仲介する専用モール「NETSEA」など、グループで展開している多様なサービスに生かしている。その一つが、企業の抱える余剰在庫や返品、型落ち品などを買い取り、自社の通販サイトといったルートを通じて転売する「リバリュー事業」だ。

同社傘下のSynaBiz(シナビズ、東京)が手掛け、サプライチェーンに滞留した在庫の解消と企業のキャッシュフロー改善に貢献。買い取った商品の発送や企業への営業活動などは14年に業務提携した佐川急便が協力している。取り扱うのは特殊な知識を要する医薬品を除き、家電からパソコン、家具、日用雑貨、ゲームソフト、アパレル、靴、DIY工具、化粧品、事務用品などと多岐にわたっている。

余剰在庫や返品はやむなく廃棄されたり、処分業者や現金問屋に安値で売られたりすることが多い。ただ、処分を依頼する小売り・卸業者などからは「引き取られた商品がどこに流れていくのかが不透明」「ディスカウント価格で一般消費者に再販売されると現行品の値段やブランドイメージに悪影響を及ぼしかねない」といった不安の声が上がる。

そこでシナビズは買い取った商品を再販売するチャネルを数多く準備し、顧客のニーズに細かく応えて懸念を払拭するよう努めている。例えば、国内の一般消費者に知られない形で余剰在庫や返品を処分してほしいと望む顧客には、小売店やネットを経由せず、日本製品の人気が高い海外市場に輸出したり、提携企業に社販用商品として扱ってもらったりしている。

再流通させる経路の透明性と信頼性を高めるとともに、各商品を再販売する際の値付けも過去の膨大な取引情報から直近の市況を踏まえて客観的に行うことで企業の信頼を獲得、着実に収益を上げている。オークファンの田島宜幸執行役員経営戦略室長は「当社は(在庫などの)流動資産の評価損は日本で年間22兆円も発生していると試算している。企業は在庫や返品で非常に悩まれており、われわれがお手伝いできる余地はとても大きい」と意義を強調する。

同事業の日々の展開を支える中核拠点となっているのが、シナビズが埼玉県三芳町で自社運営している物流センターだ。顧客企業から買い取った後、大量に届けられる多種多様な余剰在庫や返品の状態を素早く確認、必要に応じて通電などの検査を行い、再販売できるようにした上で保管、出荷する。

顧客の要望を踏まえ、在庫商品のタグを取り除いたり、段ボール箱を商品ロゴ入りのものから無地のものに変えたりといった流通加工も施す。余剰在庫と返品で常時2万~2万5000程度のアイテムを取り扱っている。いわば余剰在庫や返品の再販売に向けたTC(通過型)センターだ。


シナビズの物流センター庫内には企業から買い取った余剰在庫や返品などが数多く収められている※クリックで拡大

田島氏は同センターに関し「通常の倉庫とは180度異なる思想で設計している」と解説する。一般的な物流センターは入荷前に各商品の細かな情報が届いているが、シナビズのセンターは余剰在庫や返品がどのような状態なのか到着してみないと分からないことが多い。さらに同一種類の商品が10個あったとしても、10個が全て同じ状態とは限らない。商品の状態の良さに応じて、再販売できる経路も変わってくるため、傷が付いていないか、きちんと動くかどうかといった情報を個品ごとに把握し、管理する必要がある。

このため、シナビズでは入荷した商品がどの程度の価値を持っているかを迅速に決定、仕分けする新たなシステムを自社主体で開発、現場で実際に運用している。

基本的な流れは、物流センターに商品が届くと、開梱前にまず外装などのJANコードをスキャナーで読み取ることで商品名といった基礎データを自動的に取得。作業スタッフがいちいち入力する手間を省いた。その後、システム経由で1個ごとに同社独自の分類コード「RVコード」を割り当て、同コードに外見や中身のさまざまな情報をひも付けていく準備を整える。


全ての商品に「RVコード」を個別に発行している※クリックで拡大

入荷後、検品担当スタッフが箱を開封しているかどうか、傷や汚れがないかといった外装の状態と、きちんと動作しているか、傷んでいないか、使う際に危険はないかといった商品本体の状態をそれぞれ確認。パソコンに各項目を入力していくと、その情報を基にシステムが商品の価値を評価する「RVクオリティ」を6段階で自動的にはじき出し、RVコードに結び付ける。そして棚入れ時にはロケーションもシステムに登録。一連のプロセスを経て、毎日大量に入ってくる商品の重要な情報を関係者間で適宜共有している。

RVクオリティは、未開封で外装にもダメージがない場合は「AAA」(新品同様)、未開封で外装に軽微な傷があるものは「AA」(美品)、開封済みで商品が動かないものは「D」(ジャンク品)──といった具合だ。Dランクの判定となった場合でも、安全性を確認した上で動くパーツだけ取り外して販売したり、一定数まとめてディスカウントしたりと、可能な限り有効活用するよう努めている。


検品の際、商品の外装や本体の状態をチェックし、システムに入力すると自動的に価値判定する

中古業者などへのシステム外販も視野

センターを管轄するシナビズ業務統括本部の福島正行物流部長は「この仕組みが導入される前は本当に人海戦術的に対応してきたが、システムが定着することでセンターが以前より効率的に回るようになった。いわゆる“訳あり品”も迅速に対応できる」と効果を指摘する。

システムが各商品のRVクオリティを自動判定する仕組みを採用したのは「ノウハウを人間ではなくシステムに蓄積させることで属人性を排して判定の水準を高める」(福島氏)ことが目的だ。また、高い価値が付く物はより慎重に安全確認をする一方、ジャンク品は外見の細かい傷確認を省略した上でまとめてディスカウントセールするなど、商品の価値に応じて再販売までに投下する工数を変え、作業スタッフの負荷軽減と生産性向上を図り、より業務をスピーディーに行えるようにしたいとの狙いもある。

日々のオペレーションで雑多に届く余剰在庫や返品を効率的に仕分けできるようになったため、独自システムは特許を出願した。オークファンとシナビズはこの商品価値判定のシステムを外販することも視野に入れている。福島氏は「中古品買い取りを手掛けられている企業などにはお役立ていただけるのではないかと考えている。今後提供できる体制を整えていきたい」と強調した。

(藤原秀行)

月刊ロジスティクス・ビジネス

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