高市総務相、かんぽ問題で日本郵政に情報漏洩の鈴木事務次官を更迭

高市総務相、かんぽ問題で日本郵政に情報漏洩の鈴木事務次官を更迭

郵便めぐる行政にも影響必至

高市早苗総務相は12月20日、総務省内で記者会見し、同省の鈴木茂樹事務次官がかんぽ生命の保険商品不適切販売をめぐり、年内に予定している行政処分の検討状況を日本郵政に漏らしたとして、同日付で停職3カ月の懲戒処分を下したと発表した。鈴木氏は同日付で辞職しており、事実上の更迭。

高市総務相は「非公表扱いの情報漏洩は公務の中立性を損ない、官職の信用を失墜させる」と同氏の行為を非難。責任を取って自身の給与を3か月分自主返納することを明らかにした。後任の次官には同日付で黒田武一郎総務審議官が就き、後任の総務審議官には谷脇康彦総合通信基盤局長が昇格した。

高市総務相によれば、大臣室で少数の幹部と協議した話の内容が日本郵政に漏れていると疑われる情報が同省に入り、内部監査の結果、鈴木氏が情報を漏洩したと判明、本人も事実を認めた。情報を漏らした相手は総務省OBの鈴木康雄日本郵政上級副社長という。漏洩した理由は現時点で明らかになっていない。

鈴木氏は総務省の前身の旧郵政省出身で、今年7月に次官となったばかり。鈴木上級副社長も同じく旧郵政省出身で、その前の次官を務めていた。旧郵政省出身者の間で情報を伝えたことになる。

高市総務相は総務省出身者が日本郵政グループ企業の役員になることについて「監督官庁として公正、公平な判断ができなくなる」と否定的な見解を示した。

監督官庁が所管分野の企業に秘匿すべき情報を漏らしたことは極めて不公平かつ不適切であり、旧郵政省出身者のモラルの低さは批判されて当然だろう。今回の不祥事は郵便をめぐる行政と日本郵政グループの経営の双方に大きな影響を及ぼしそうだ。

(藤原秀行)

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