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「コミュニケーション不足が問題の原因とは認識せず」

「コミュニケーション不足が問題の原因とは認識せず」

郵政3社トップ謝罪会見詳報③

日本郵政の長門正貢社長とかんぽ生命保険の植平光彦社長、日本郵便の横山邦男社長は12月27日、東京都内で記者会見し、かんぽ生命が保険商品の不適切な販売を続けていた問題で金融庁や総務省から行政処分を受けたことを踏まえ、そろって2020年1月5日付で引責辞任することを発表した。会見の詳報を4回に分けて掲載する(発言内容中の敬称略)。


会見に臨む日本郵政の長門社長

漏洩問題の調査は行わない

――日本郵政の鈴木康雄上級副社長が辞任する理由は何か。鈴木氏は総務省から行政処分の検討状況を漏洩された相手と発表されている。
長門氏
「鈴木上級副社長の問題は、日本郵政としては12月20日に情報漏洩の問題が高市総務相から照会され、大変大事な問題と認識したので、しっかりと公明かつ正大な調査を行ってもらおうと思い、第三者の弁護士の方に依頼しようとまさに動いていた。順調にいけば今日まさにその弁護士さんとうちの担当役員が会う予定だったが、(鈴木茂樹)総務次官がお辞めになった。これを受け、鈴木康雄氏自身で大変重大なことだと認識して、本日自ら辞職という道を選んだ次第。これを受けて、当社としてはこの調査は行わないという決断をした」

――不正の背景には、勧誘などで問題のある「優秀成績者」が許容されてきたことがあるのではないか。
植平氏
「今回の品質問題の一定の根本原因の中でも取り上げられているが、新規の契約に少し傾斜して評価してきたことを含めて、今後われわれとしては成績評価の在り方を変えようとしている。表彰については、私の記憶の中で言えば、横山といろんな相談しながら、私が社長になって以降、品質問題は大変重要なテーマと認識していたので、表彰制度についてもメスを入れてきた。売り上げだけがいい人だけ表彰するのは不十分であって、(販売手法が適正かどうかという)品質の指標も取り入れ、総合的に優秀な成績を評価していきたいということで、判断・判定基準を見直し始めた途上だった。最近は内容的にもかなり整備されてきたと考えている。現時点では指摘の点について、品質基準をクリアしなければ評価されないという仕組みで、郵便と一緒に制度を回していると自覚している」

横山氏
「この3年、品質に重きを置いた優秀制度に中身を変えてきている。従って、表彰される方が数年前とずいぶん変わってきたのは社員も認識している。ただ、ご指摘のような点について、全てが途上だったというのは私としても忸怩たる思いだ」

長門氏
「特別調査委のリポートにもあったように、いろいろな要因が合ってこの問題が起こっていると思う。ご指摘の問題も1つの原因ではないかと私も思う。12月18日に発表した特別調査委のリポートの中に、例えばこういう数字もあった。違反疑い事案のうち、販売実績が優秀とされる募集人が関与した件数の割合が1641件、約28%だった。大きいシェアを占めているし、しっかりチェックしなければいけないポイントの1つと感じている。私どもが先週発表した調査の現況で申し上げた」

――不適正が組織的な問題だったのではないか。
植平氏
「私の自覚の中で、不適正を許容したことは一度もない。募集人1人1人にどうあってほしいか、1つは新規の契約をしっかり取っていただきたい、もう1つは既存のお客さまにはなるべく長く継続していただく。それがわれわれの願い。そうしたことを実行していくには、既存契約の解約や減額で新規契約を取りに行くのはできるだけ抑止、抑制して新しいお客さまを開拓してほしい、長くお客さまでいていただくとともに、新しいお客さまを開拓してほしい、当社のマニュアルなどはそういう指標管理のために使っていたものと理解している。全てが問題だというような理解をして使用してきたものではない」

――先ほど、環境のせいではないと主張していた一方で、横山社長や植平社長は制約を外してほしいというような話をしていた。国や政治の影響を受けて、半官半民のグループを1つの方向に率いる難しさを感じたことはなかったのか。
長門氏
「1から100まで尺度があって、50が原点の時に50をゼロと読むのか、ゼロが原点の時に50と見るのかどうか、相対的な差であって、制約やしがらみがない経営なんかあり得ないし、それが理由で、今日雨が降ったから経営ができないとうのであれば経営なんてできないよ、という意味で力及ばずと申し上げた」
「仰る通り、半官半民だけではないとは思うが、いろんな制約があって、例えばゆうちょ銀行は総資産210兆円で融資ができない銀行だ。信託銀行や証券会社を子会社に持っていない、小さな自分で作ったアセットマネジメントの会社はあるが、海外拠点がない、ドル預金ゼロ、という状況で戦う。かんぽも主力保険商品が3つしかない、海外の保険会社を買収できない。いくつかの制約はむろん感じている。半官半民は例えば、今回の事件が起こって、国民に対して、お客さまに対してご迷惑をお掛けしたのでやむを得ないが、なかなか民間の企業で事件が起きても、国会に怒られに行くという会社はあまりないと思う」
「一方で、ものすごく政治家の方々が、いろいろ応援してくれる会社もあまりないと思う。そういう意味では日々、半官半民なり、わがグループとしての制約とか、問題点とかもちろん感じていたが、その中でどうやっていくかが経営なので、そういう言い訳はしたくなかったという趣旨で申し上げた」

――今回の退任に当たって退職金を受け取るか。
長門氏
「われわれは年俸制なので退職金はない」


会見に出席したかんぽ生命保険の植平社長

制約なければもう少し違った戦略描けた

――限度額が付いていない商品を売りたかった、手かせ足かせがあると言っていた。そういうことがなければ問題は起きていなかったと感じるか。
植平氏
「当然われわれは上場企業だし、社内ではタブーの領域なく、いろいろな戦略論議を行う。生命保険会社としてどういう方向感で商品開発をすればいいのか、どういう商品が今市場では魅力的なのか、そういった議論を常にしている。そういう意味では現在、限度額が課せられているということ、それから商品ラインアップの数が非常に少ないということ、この2つをもって、出来得ればどういう領域の商品を手中にして、限度額を引き上げて、どういうマーケットに販売していけばいいだろうということを常に議論している。そういう意味で、私が先ほど申し上げたのは、われわれとして欲しい額や商品を手中にして、今の日本郵便という販売網で、どういうふうに売り上げを伸ばしていけるだろうという議論が、現在の限度額や商品の中で、なかなか自由な議論につながりづらいという意味、それから大変、今日本郵便の募集人の中にも優秀な方が多いので、こういう方々にいい商品を流しこんでいければもっと売りやすい環境ができるだろうなという思い。商品供給する立場からすると、大変忸怩たる思いがあったということだ」
「繰り返しになるが、今回の問題については、特別調査委の方で根本原因がいろいろ挙げられている。もちろんその中には、募集網の問題も取り上げられているので、限度額や商品の問題だけで募集網の問題が全て解決するというものではないと私は理解しているので、そういう制約要因がなければもう少し違った戦略がまた描けるという意味合いで先ほど申し上げた」

横山氏
「制約うんぬんにかかわらず、お客さまに不利益を生じさせるような行為があってはならないのは当たり前のこと。そういう中で私ども、かんぽの商品というのは従来、貯蓄性の商品が中心であった、貯金代替という形でのお客さまへのご案内をしていた中で、こうした最近の低金利環境、経済環境の変化に伴って、この転換がうまく図れなかった、そして商品面の制約もあったというようなことであったであろうと認識している」

――以前在籍していた会社と郵政のコミュニケーションなどの面で違うと思ったことはないか。
長門氏
「情報が上がってこなかったのがこういう事件が起こった1つの大きな原因なので、しっかりと反省して克服しようということで、そのいくつかの努力の1つが今日ご紹介した2つ。ボードミーティングでの議論は正直言って(従来いた会社と)全くそん色ないと思う。19日の記者会見で(独立調査委の)伊藤先生の説明が若干違うんじゃないかと感じたが、例えば郵政で、どういう持ち株会社でありたいか意見がばらばらだというコメントがあったが、あれはものすごく議論している。だからこそいろんな意見が出てくるということだが、正直言っていくつか会社を経験したし、もともとは銀行屋でもあったので、いくつかの会社のボードミーティングに参加することも多いが、決してそん色ないどころか、なかなかの各界の一流の経営者、論客が集まっているので相当の激論が交わされている」
「従って、こういう課題がイシューに入っていなかったので、入ってくるようにしようというのが今回最大の再発防止策の1つになると思うが、ボードミーティングの風景を見ていて、わが社が著しく静かだとか、全然議論がないとかいうことは全くなくて、むしろ非常に活発に種々議論が行われている、そういう意見を率直に、フリーに自分たちの経験とか職場の視点で見て、自由に意見を言い合っている、かなり活発なボードミーティングだという印象を個人的には持っている」

植平氏
「今回の問題は6月末、われわれも気づいたのがあのタイミングでそこから動き始めたので大変忸怩たる思いがあるが、気づいてからお伝えして、動き出したので、コミュニケーションが不足していたことが原因とは個人的にあまり自覚していない。常時、横山とは主力販売網だから、情報交換を図りながら仕事をしているし、長門とは計画を立てたり、グループ全体の進め方、あるいは2社間のいろんな問題の調整などもお話ししたりしているので、その間の何かコミュニケーション不足で今回の問題に、という話は自分としてはあまりピンと来ていない」

(藤原秀行)

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