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新社長「絶対民間出身の人間の方が良い」はおかしい

新社長「絶対民間出身の人間の方が良い」はおかしい

郵政3社トップ謝罪会見詳報④(完)

日本郵政の長門正貢社長とかんぽ生命保険の植平光彦社長、日本郵便の横山邦男社長は12月27日、東京都内で記者会見し、かんぽ生命が保険商品の不適切な販売を続けていた問題で金融庁や総務省から行政処分を受けたことを踏まえ、そろって2020年1月5日付で引責辞任することを発表した。会見の詳報を4回に分けて掲載する(発言内容中の敬称略)。


日本郵政グループは信頼を回復できるかどうか、重大な岐路に立たされている

不利益は最後の1人、1円までしっかり対応する

――鈴木上級副社長の情報漏洩で調査を打ち切ると言っていたが、常識では考えられない。鈴木氏はNHKの報道に対してまるで暴力団の手法だと発言し、長門氏は鈴木氏と見解が一致していると国会で発言している。何かアンタッチャブルなものがあるような、腫れ物に触るような対応に見えるが、そのうみをどう出すのか去るのに当たって話すことがお国の役に立つことではないか。なぜこれほど説明が不足しているのか。
長門氏
「アンタッチャブルとは、(質問者が)ご自身で何かストーリーを作って何か目に見えないものを想定されているのかもしれないが、鈴木の問題は相手の次官が退かれて、先方さんも終わり。こちらも十分責任を感じて、鈴木も退いたと思っている。NHKの問題はあったが、別に何かを遠慮して物を申し上げているのではなく、私が終始一貫して申し上げているのは、NHKの報道が4月24日に『クローズアップ現代』でなされ、報道自体も非常に厳しい内容だったが、第2弾ができるという時にウェブが立ち上がって、良い悪いは別で、今から考えればいろいろなヒントをいただけたわけだから、もっと謙虚に動いていたらという気持ちはあるが、その当時は押し売りとか詐欺とかひどい言葉があったので、ひどいじゃないかと思ったのは、鈴木も私も、関係者はみんなそう思った」
「私が言ったのは、今から思うと、こういう事件になって(グループの役員が)5人も首になって、役員全員が報酬減額になるような大事件に至ったヒントがあの時あったので、謙虚にその時動いていればよかったのに、ということで申し上げた。鈴木は表現の問題はともかくとして、どういう語彙を使ったかという問題はともかくとして、あの時ひどいと思ったんだというふうに言っている。そこは私は、最初から全然意見は一致していない。彼に何かものすごい、アンタッチャブルなものがあって怖いから触らないとかそんな次元の話ではない」

――鈴木氏の「暴力団まがい」というような発言は撤回しないのか。
長門氏
「これは鈴木が言ったことなので、私が撤回というのは筋が違うと思う。そのご質問には答えられない」

――顧客本位という点について聞きたい。金融の知識が乏しい高齢者は十分な説明を受けず自らの不利益を理解できないままになっているケースも数多くあるということを取材の中で感じている。特定事案以外にも問題ケースは多々ある。その実態解明と救済は今度どうするのか。
長門氏
「カスタマーズファーストは絶対でなければいけないと思うので、どこまでできていたのか、できていなかったじゃないかと言われるのが今回の問題で大変反省しているが、きちんと本気で、言葉だけではなくて、カスタマーズファースト、お客さま第一、お客さま本位ということをしっかりやっていきたい。保険の問題だが、嘘偽りなく、3000万件持っているので、全件調査をしている。当然問題があれば真摯にお応えすると言っているから時間はかかると思う。1件1件きちんと弁護士が絡んで、ちゃんと記録を取ってやっているので時間はかかると思うが、1人残らず最後まで1円たりとも対応していこうという姿勢でやっていきたいと思っている」

植平氏
「既にスタートさせた特定事案18・3万件、それと今3000万件のお客さまという話があったが、契約者数にして1900万人、これの全数調査も一緒にやらせていただいている。今話したように、特定事案とは別に全契約調査の枠組みを使っていくというのが一番いいかと思うが、こうした中でやはり問題事案があるとは認識している。そういうものについて、例えばスコープを定めて、今後必要な追加の調査についてももちろん、必要な領域についてはやっていきたい。この間も触れたが、例えば新規契約と解約を繰り返しているような、われわれ多数契約と呼んでいるが、そういう領域には明らかに不利益が生じていると疑われる事例があるので、こういった領域も含めて徹底的にやっていきたい」

――プロパーから新社長に昇格する人事はゆうちょ銀行にも影響するのか。事業展開に制約が設けられているのは政府の加護があるからだと思うが、今回の役員人事は総じてみると民営化という観点で、国営の時代に張りを戻すような印象があるが。
長門氏
「たまたま衣川が日本郵便の社長になり、千田のかんぽ生命の社長になる。旧郵政省の人間がなることが決まった、そうするとゆうちょも次はそうなるのかということだが、タレントはその時々で、アベイラブル(選択可能)な中からベストな人間を選ぶということでやっているので、これが2件、たまたま(旧郵政と)つながったから、次の人事異動の時にまたそうなるということは決してない。結果的にその人が一番ふさわしくて、一番力があって、その時の経営課題に一番対応能力がふさわしいということになれば、もちろんそうなる可能性はあると思うが、そういうルールを作るために今回こういう人事をしたということは決してない」
「2人とも旧郵政省じゃないか、増田氏も前は(郵政分野を管轄する)総務大臣じゃないか、同じルーツの人が集まったじゃないかということかもしれないが、男子3日会わざれば刮目して見るべし、民営化する前からこの会社に骨を埋めてきている2人をたまたま選んだということであって、ルーツが旧郵政省だの何だのというのは全く関係なくて、今できる人で一番いいと思った。1点、環境でいいなと思ったのは、やはり横山も旧住友銀行、植平は東京海上日動火災保険、私は旧日本興業銀行、何らかの錯覚もあってこの組織いいなと思って、そこを選んだ。もちろん、この大事なナショナルプロジェクトのアサインメントをいただいたので、いる間は全身全霊で尽くそうと思っているが、日々の経営の中にやはり、この会社が好きで、ポストが好きで入った人とはちょっと違うところがある。もちろん、長く向こうはいるわけだから、人をいっぱい知っている、人事を知っているとか、事件を肌身で感じているとか、いろんな理由はあると思うが、やはりそういう側面もあって、能力があるのであればそういう人を使わない、絶対民間の人間の方がいいんだ、このルーツの人間は最初からアウトだ、という方がおかしい、という意味で申し上げた」

――追加の調査はスコープを定めて実施すると言っていたが、具体的に何か決まっているのか。
植平氏
「先だって手前どもで発表した内容の中に記載させていただいた通りで、今後の対応についても問題領域、不利益領域があるのであれば例外なくしっかりやっていきたいということ。今回、特定事案調査は外形的に不利益が発生している可能性があるということで、18・3万人に送り出したが、もしそういう領域があるのであれば、あるいはお客さまに明らかに不利益が生じている領域があるのであれば、それを見過ごすことは絶対にしない。それをしっかりと定めて、範囲を決めてやっていきたいと思う。今どの領域がどうだということを、ちょっと今ここで私の方から個別具体的にはなかなか申し上げられないが、後任の体制も含めてそういうことはしっかりとやっていくことになると思っている」


会見に出席した日本郵便・横山社長

次官と上級副社長が辞めたからイーブン

――鈴木氏の発言について国会では同じ意見だと説明していたにもかかわらず、先ほどは全然一致していないと言っていた。それはどういうことか。
長門氏
「そういうことは一言も言っていなくて、何を言ったかというと、暴力団という表現は、彼固有の表現だと思うけれども、ウェブが立ち上がった時にちょっとひどいじゃないかと思ったのは、彼1人のみならず当時は郵政グループ全体でひどいじゃないかと思っていましたよと、全然意見の違いはありませんよと言ったつもりだ。ただし、もう1つ言ったのは、今から思うと、この不利益問題でこれだけ大事件になっているわけだから、あの時反省して動いていたらな、という気持ちはあるという、私の気持ちを言った。ウェブの印象について、これもグループの誰1人、というと言い過ぎかもしれないが、グループの中で意見の不一致があったとは一言も申し上げていない」

――発言の確認をしたいが、鈴木氏は暴力団と何度も言っている。代表取締役上級副社長がそういう発言をして、広報部にも適切かと質問したが適切とするよな回答をしている。詐欺まがい、という発言は名誉棄損だと抗議していたが、暴力団は名誉棄損にならないのか。あと長門社長は9月末の会見で、反省しているという言葉を、問題を調査しなかったことだけでなく抗議したことについて反省している、と私は受け止めたが、抗議については反省してはいないのか。
長門氏
「整理したい。1つ目は、ツイッターが立ち上がり、7月7日と10日にこのツイッターを見て、みんなひどいじゃないかと思ったのは、鈴木上級副社長のみならず、わがグループでいっぱいいて、そこについては、ひどいじゃないかと思った気持ちはみんな共通。2つ目は、これに関して鈴木上級副社長が暴力団という表現を使った、これについてどう思うかというご質問であれば、極めて不適切と私は感じている。それはちょっと言い過ぎというのが、鈴木個人がどういう表現力の持ち主で、どういう気持ちで言ったのか忖度できなくはないが、それを社会的にそういう言葉で発言したというのは、ちょっとそれは行き過ぎではないかと感じている」
「私が反省していると言っているのは、今から思うとあの時にしっかり、こういう不適切営業かもしれないものがある時に、大きなヒントがあったんだから、あの時に今のような抜本的な調査とか何かに動いていれば、早期に問題が解決できたのに大変反省しているという意味で申し上げた。今から思うと、いい悪いは別だが、ひどいじゃないかNHKと思ったのは、それは本当に思った」

――鈴木も退いたから、という言葉を聞いて驚いた。何があったのか少なくとも総務省の方は事務次官が辞めている。それに対して日本郵政の方では何の説明もなく、本人が辞めたからいいじゃないかというのではガバナンスが成り立たないのではないか。
長門氏
「2点申し上げる。総務省は次官が辞めた、私どもも鈴木上級副社長は辞めた。そういう意味ではイーブンと。次官の方が偉い、上級副社長の方が偉くないということかもしれないが、これがまず1つ。2つ目に、これは相手があることであり、うかつなことを申し上げられないので、気を付けた発言をしているが、当然この(情報漏洩の)報道が12月20日の夕方にされて、私ども、鈴木にヒアリングをした。それではしっかり担保されないと思ったので、追加的に弁護士の方を第三者と、嘘偽りなく今日、コンプライアンス担当の稲沢がそこに行ってお願いする段取りになっていたが、つい近々、鈴木上級副社長も辞めるというので止めたのも嘘偽りない事実。3点目に、直後、当然ながらわれわれでヒアリングをした。彼はそんなひどいことをしていないというのが回答だった。それからわれわれのオブザベーション(観察事項)もある。ものすごい秘密を彼が得たというオブザベーションをわれわれは全く持っていない。上級副社長とわれわれはしょっちゅう経営会議などで会う。お互いに情報交換するが、鈴木次官がこんなことを言っていてこんなことだぜ、大変だ、われわれの対応を変えなければいけないというような会話は全く、ただの一度も聞いていない」

―なぜそれを説明しなかったのか。
長門氏
「それを言おうと思ったが、先ほどの方はいっぱい質問があって、NHK問題もあったので、途中で(話が)切れてしまったかもしれないが、これがわれわれの嘘偽りのない、今までの行動だ」

(藤原秀行)

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