「変化と挑戦で魅力ある企業に」「五輪後に経済悪化でも成長果たす」

「変化と挑戦で魅力ある企業に」「五輪後に経済悪化でも成長果たす」

物流関連主要団体・企業の2020年頭所感②

物流関連主要団体・企業の2020年頭所感①
物流関連主要団体・企業の2020年頭所感②
物流関連主要団体・企業の2020年頭所感③

不動産投資市場の役割はますます重要に

不動産証券化協会・杉山博孝会長(三菱地所会長)

わが国経済は緩やかな成長が続いているものの、グローバルなリスク要因などにより、先行きの不透明感は増してきている。そうした中、不動産投資市場は堅調な不動産市況を背景に、着実に成長している。公募・私募を合わせたリート市場の資産規模は、取得価格ベースで約22兆円、鑑定評価ベースで約25兆円となった。また2018年以降堅調な伸びを見せていた東証REIT指数は、昨年11月に調整があったものの、2000~2200ポイントのレンジで底堅く推移している。令和2年度税制改正では、当協会が要望した不動産取引やアウトバウンド投資の拡大に資する手当てなどがなされ、不動産投資市場のより一層の成長が期待される。

今後わが国では、超高齢社会の到来や技術革新の進展などによって、人々のライフスタイル・働き方が急速に変化していく。医療・介護施設の充実や、多様化するライフスタイル・働き方を支えるイノベーティブな空間提供のためには、多くの開発・更新投資が必要となる。そのため、個人や年金などから必要な資金を集めて循環させるという不動産投資市場の役割はますます重要になっていくだろう。同時に、J-REITをはじめとする不動産投資商品の拡大、多様化は、人生100年時代を見据えた国民の安定的な資産形成に、大きく寄与するものと考える。言葉を換えれば、不動産投資市場の発展・進化が、わが国の社会的な課題解決の一助となり、新たな未来を切り拓く呼び水になると言えるだろう。

昨年12月には政府から「災害からの復旧・復興」「経済の下振れリスクへの対応」「オリンピック・パラリンピック後を見据えた景気活性化策」を柱とする大規模な新経済対策が打ち出された。当協会では本年4月から第6期中期事業計画の最終年度が始まるが、こうした政府の力強い経済対策を追い風に、本計画で目標として掲げている「成長基盤の強化」を着実に進めるとともに、オリンピック・パラリンピックという好機を捉え、「さらなる飛躍」を実現する年にしていきたい。

「改革」「変革」「革新」で新たなスタートを

大和ハウス工業・芳井敬一社長

新年を迎え、創業65 年目を迎える当社の新たなスタートに際し、私が本年掲げる一文字「革(かく)」をテーマに3点、皆さんにお願いがある。

1つ目は「改革」だ。これは「革」が持つ意味「たるんだものを建て直す」の実践だ。今、まさに社員1人1人が不祥事を二度と起こさないよう、法令順守の下、ルールに則った業務を行う「凡事徹底」が求められている。また、働き方改革の実践も喫緊の課題だ。中でも、現場の技術者不足の解決策として、デジタル技術によるデジタルトランスフォーメーションやAI(人工知能)・IoT(モノのインターネット) の活用によって、省人化や無人化に取り組み始めている。加えて、東京五輪中は東京を中心に大規模なテレワークの実施など、この機に職場環境の改善に取り組む。既存業務の効率化と改革を進めるため、皆さんが新たな働き方のアイデアを出し合うことで、「より良い会社」にしていこう。

2つ目は「変革」だ。創業者・石橋信夫は「企業は30年、次を背負う事業をつくれ」と説いた。つまり、われわれ役職員は時代に合わせて事業を「変革」していくことが求められている。かつて当社が開発したニュータウン「ネオポリス」は時が経ちオールドタウン化している。世の中がモノの消費からコトやトキを消費する時代に変化していく中で、当社が開発した街を再耕する「リブネスタウンプロジェクト」を通じてサステナブルで、次代につながる街づくりに挑戦してほしい。

最後は事業の原点である人財育成の「革新」だ。わが国を取り巻く政情が不安定な時期だが、このような不透明な時代を生き抜く力を、役員・管理職の方々はぜひ部下に教示いただきたい。社業が発展していく中で、当社は幾多の試練を乗り越え、今日に至っている。これまで当社を支えてきた管理職以上の皆さんが若手社員にこの厳しい環境に打ち勝つ力が備わるよう、働き掛けてほしい。

本年、当社はこれまでの仕事の仕方を改める「革(かく)」の時代を迎えた。この時代を生き抜くためにも、われわれ役職員は将来の大きな「夢」を持ち、それに向かって前進し続けてほしい。皆さんの成長をとても期待している。この難局を共に乗り越えよう。

「人々の生活を支援する企業グループ」として総合力発揮

センコーグループホールディングス・福田泰久社長

今年は中期経営5カ年計画の4年目として、引き続き「事業の拡大」「収益力の向上」「人材の確保と育成」に取り組んでいく。これらを進める上で今まで以上に意識してほしいことは、グループシナジーの創出だ。「人々の生活を支援する企業グループ」として、さまざまなアイデアや提案をはぐくみ、実現するなどもっと総合力を発揮していこう。

その中で、グループ全社員の皆さんにお願いしたいことが3点ある。1点目は「労働時間の削減」だ。昨年4月に「働き方改革関連法」が施行され、当社グループでも経営の最重要課題の一つと位置付けて改善に取り組んでいるが、なお一層の努力が必要だ。ドッキング輸送やAIの活用など、業務の効率化に向け、あらゆる対策を講じて労働時間の削減に取り組んでほしい。

2点目は「基本の再徹底」だ。各職場で取引先との契約が締結されていない、古い啓発ポスターや組織図・連絡網が掲示されているといった気の緩みと思われる事例がないか、職場内のコミュニケーションをしっかり取り、今一度再確認や注意喚起をお願いしたい。

3点目は「心と体の健康管理」だ。当社グループは昨年まで2年連続で「健康経営優良法人 ホワイト500」に認定された。人生いつまでも元気で幸せな生活を送るには健康な心と体を手に入れることが大切だ。自ら目標とメニューを決め、日々実践していこう。

今年は東京オリンピックが開催されるが、日本は前回の東京オリンピックを機に大きく成長した。当社グループも「チェンジとチャレンジ」で魅力ある企業グループへ成長していこう。

経営環境は今年下期から厳しいと予測、社員一体で業容拡大に前進

第一貨物・武藤幸規社長

IoTやAIなどを用いた数々のテクノロジーが一般社会、そして物流業においても活用される時代となることは必須だろう。これからの社会や当社においても、ミレニアル世代の人々や社員が社会の中枢になるのではと思う。当社においてもぜひ中心となり、活躍してほしいと期待してやまない。

2020年はおそらく東京オリンピック・パラリンピックが終わる下期からは相当経済は悪化すると危惧される。そして、少子高齢化によりドライバーをはじめとして人手不足の様相は一段と厳しくなると予測される。

今後の経営環境は依然厳しいものが予測されるが、われわれは将来を見据え、しっかりとした経営の基盤を確立し、どのような環境となろうとも社員一体となり、業容の拡大に前進していかねばならない。お互い大いに頑張ろう。

(藤原秀行)

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