物流関連主要団体・企業の2020年頭所感①
物流関連主要団体・企業の2020年頭所感①
物流関連主要団体・企業の2020年頭所感②
物流関連主要団体・企業の2020年頭所感③
「厳しい局面は規格統一など進める絶好の機会」
日本物流団体連合会(物流連)・渡邉健二会長(日本通運会長)
物流連ではこの1年間、かねてより掲げてきた4つの活動を推進してきた。まず、「物流を等身大で社会一般から見てもらう活動」として業界を紹介するインターンシップ、研究セミナー、視察見学など若者に向けた活動を推進し、少しずつ手応えも感じている。また、「社会インフラとしての物流機能強化」を進める活動として、相次ぐ自然災害に対応するため物流会社向けのBCP(事業継続計画)作成ガイドラインをバージョンアップする取り組みや、先端技術活用事例を紹介する見学会などを実施した。
「国際的な課題への取り組み強化」については海外物流戦略ワーキングチームによる政府、会員間での情報交換や、日系企業の展開先として注目されるインド南東部の物流視察等を実施した。「物流環境対策の取り組み」としては2つの顕彰制度について応募企業数は過去最大級となり、表彰対象となった取り組みを広く普及させる講演会なども実施してきた。
ただし、これらを進めていく中で「新たな課題」も見えてきた。企業や業界を超えた連携を広めようにも、梱包資材やパレットの規格はさまざまであり、情報システムも企業毎に閉じられている例が一般的。本年は就任後半年間で進めてきた施策の推進とともに、物流業界が厳しい局面にあるからこそ可能となる規格の統一や「共通基盤の構築」を進める絶好の機会とも捉え、活動を進めていきたいと考えている。
“日本発祥のグローバルブランド”目指し、「自身が主役」と再度認識を
近鉄エクスプレス 鳥居伸年社長
本年は、当社が近畿日本ツーリストから独立して会社設立以来、50年という大きな節目を迎える。これからの50年は過去におけるあらゆる環境や価値観とは全く異なる中での挑戦となる。
新聞などでは「2045 年にシンギュラリティーを迎える」、つまりAI(人工知能) が人間を超えるといわれている。その論理の賛否はともかく、これから25年後のそのような事象を迎える時点においても、当社グループが市場から必要とされ、存続し、発展をするため、今から取り組む必要がある。中期経営計画に基づき“日本発祥のグローバルブランド”を目指し、“Global Top 10 Solution Partner”となるために、経営基盤の強化(グループガバナンスの強化、次世代 IT の企画/導入、グローバル人材の育成強化、財務健全性の向上)を行い、掲げている営業戦略およびオペレーション戦略を実行し、APLLグループの支援を得ながら彼らとの協働を追求していく。
2020年のわれわれを取り巻く市場環境は、地政学的な要因により非常に混沌とした状況が続くと予想される。100年に一度といわれる技術の大変革期において、それに伴う物流は世界のどこかで発生するはずだが、一方でその技術革新の覇権をめぐる国同士の争いにより、状況はさらに複雑になっていくと思われる。しかし、中期経営計画に掲げた方向性、方針に変更はなく、われわれのあるべき姿を具現するため目標に向かって邁進していくので、各自置かれた立場で「自身が主役」であることを再度認識し、行動していただきたい。
質にこだわり、高付加価値を提供する挑戦をしよう
郵船ロジスティクス 水島健二社長
2020年は‟TRANSFORM 2025”の達成に向けて中間フェーズに入り、新3カ年計画がスタートする年。国際物流を取り巻く足元の事業環境は決して明るいとはいえない状況だが、デジタルフォワーダーによる新規参入や AI/IoT の活用といった新しい動きもあり、リスクとチャンスが混在する局面だと考えている。このような状況だからこそ、将来にわたり‟One Yusen Logistics”を構築するための強固な基盤固めにしっかりと取り組まなければならない。
Global Headquarters 設置も基本戦略 GLOBAL UNITY を実現するための取り組みの一つだったが、新3カ年計画ではより事業基盤を強化し、安定的な収益構造の確立へとつなげていく。デジタル技術も取り入れながら効率的な業務改善とリソース活用の追求を進め、プロセスの見直しを既存事業中心に強化し、儲かる会社にしていく。
私たちの Mission(私たちの使命)である「世界で認められ選ばれ続けるサプライチェーン・ロジスティクス企業となる」ためには、私たちにしかできないことをやらなくてはならない。それには、当社の強みであり財産である皆さん1人1人がお客さまにしっかりと寄り添い、新しいバリューを生み出していくことが必要だ。質にこだわり、高付加価値を提供する挑戦をしていこう。
強固な事業基盤の下で、お客さまに寄り添って物事の本質を見極める力を働かせ、徹底してサービス品質の向上に取り組み、新しい価値を創造することでお客さまとともに成長していく。まさに Mission 達成のための4つの基本戦略であり、この方針と連動した施策を展開していきたい。
当事者意識持って改善に取り組むことが良い結果につながる
トナミホールディングス 綿貫勝介社長
本年最終年度を迎える第 21次中期経営計画において、中心に据えて取り組んでいる「働き方改革」の進展に向けて、ワーク・ライフ・バランスを実現し、安心して働ける職場環境の整備に、より一層注力をしていかなければならない。
厳しい事業環境の中にあっても高い目標を達成していくため、新規顧客の開拓と業務の効率化に力を注ぎ、AIやIoT(モノのインターネット)の力を積極的に取り入れて、定型的な事務作業などの省力化を行い、コストコントロール機能の強化を進めていくことが重要である。
従業員1人1人が旧来のやり方を続けるのではなく、当事者意識を持って改善に取り組んでいくことが、よい結果につながるものと確信している。
(藤原秀行)
物流関連主要団体・企業の2020年頭所感①
物流関連主要団体・企業の2020年頭所感②
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