「新技術やビッグデータを柔軟に活用、新サービスやビジネス創出」

「新技術やビッグデータを柔軟に活用、新サービスやビジネス創出」

物流関連主要団体・企業の2020年頭所感③(完)

物流関連主要団体・企業の2020年頭所感①
物流関連主要団体・企業の2020年頭所感②
物流関連主要団体・企業の2020年頭所感③

持続的成長へ主体的に動き、おのおのが変化や失敗を恐れず挑戦

日本通運・齋藤充社長

今年は「日通グループ経営計画2023 非連続な成長-Dynamic Growth-」の2年目に入る。経営計画の目標達成に向けた課題として、まず「会社や部門の壁を取り払って働くこと」が挙げられる。昨年、支店の大くくり化を実施したが、グローバル市場で存在感を持つロジスティクスカンパニーとなるためには、グループが真の意味で統合・融合する必要がある。そのため、まず陸海空を統合することで営業強化、安全・品質・コンプライアンス(法令順守)の強化、業務の効率化を早期に実現する。

次に「企業文化の変革」だ。世の中が急速に変化する中、物流もデジタル化やテクノロジーが進化し、今までにない業種の企業が競争相手となりつつある。持続的に成長し続けるため、主体的に動き、おのおのが変化や失敗を恐れず挑戦する。スピーディーに判断して実行する。このような企業に変革していく必要がある。そのために意識の変革、行動の変化が求められている。どうか経営の基盤である「安全、コンプライアンス、品質」を大切にし、日々行動していただきたい。

一層の高みを目指す「飛翔」の年

SBSホールディングス・鎌田正彦社長

当社グループの最大の成長要因は3PLだ。昨今インターネット通販の成長により物流センターと配送の需要が急拡大している。物流センターを確保し配送を取り込むことで、「ECビジネス向け3PL」のビジネスモデルが完成するが、SBSグループはそこに向けて着々と準備を進めている。

昨年は大阪南港に自社物流センターが竣工したほか、福岡と名古屋にもセンターを開設した。今年も、1月中に横浜市で新たな物流センター建設工事の地鎮祭を控え、4月には大田区(城南島)、下期に横浜市金沢区(幸浦)で新たな物流センターが竣工予定だ。現在グループでは50万坪ほどの物流倉庫を運営しているが、早いうちに100 万坪にしたいと考えている。

また、配送面ではSBSリコーロジスティクスとSBS即配サポートが連携しBtoBの全国配送ネットワーク構築に挑戦、さらにBtoCの宅配事業にも参入する。

今年は東京大にグループ初となる寄付講座を開設する。AI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)などの最新技術がこれからの物流業には不可欠だ。私たちはこれから科学的なアプローチを貪欲に学んでいきたい。

2020年度のスローガンは「飛翔」とする。グループ一丸となり厳しいロジスティクス業界にあって一層の高みを目指し飛び立つ年にしていこう。また、昨年のスローガン「融合」は当社グループの永遠のテーマ。たゆまず融合を進めていこう。

産学官が連携し全体最適化図る

日本ロジスティクスシステム協会(JILS)・遠藤信博会長(NEC会長)

昨年を振り返ると、深刻化する米中貿易摩擦や混迷を極める英国のEU(欧州連合)離脱問題、地政学的な不透明感、新興・途上国における景気減速などの要因から、世界経済の成長率が低迷する1年となった。

一方でわが国の産業界を取り巻く状況は、雇用・所得情勢の改善が続くなど、緩やかな回復基調にあると思われるが、世界市場はGAFA、BATなどの巨大なプラットフォーマが席巻している。このような状況で活路を見出し、持続的に発展していくためには、AIなどのテクノロジーやビッグデータを柔軟に活用し、新しいサービスやビジネスを創出することが重要だと考える。

2015年に国連サミットで採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」は、企業の本来の活動そのものと理解しているが、掲げられた17の目標には、生産的かつ働きがいのある人間らしい雇用の促進、強靭なインフラ構築、持続可能な消費生産形態の確保など、ロジスティクスの高度化を実現するための重要な要素も含まれている。サステナビリティー(持続可能性)の観点から日本のロジスティクスがどうあるべきか、何を目標にすべきかを議論し、産官学の連携により全体最適化を図ることが重要だと考えている。

当協会は2030年のロジスティクスのあるべき姿を「ロジスティクスコンセプト2030」として取りまとめたが、本年はこの新たなコンセプトを皆さまと共有し、その実現に向けて活動を展開していく。

当協会は今後とも、わが国産業活動と国民生活の持続可能な発展に向け、経済産業省ならびに国土交通省など、関係各省庁の施策と歩調を合わせるとともに、産・学との連携を強化し、全力を挙げて課題に取り組む。

利用しやすい駅にし物流の生産性向上で役割発揮

JR貨物・真貝康一社長

昨年は自然災害が相次ぎ、10月には台風19号の影響により、約2週間にわたり多くの貨物列車を運休した。JR各社・利用運送事業者各社・行政機関のご協力・ご支援の下、グループの総力を挙げ、トラック・船を活用した代行輸送、迂回列車の運転を行い輸送力確保に努めたが、ご利用のお客さまにはご迷惑をお掛けしたことをおわびするとともに、ご協力・ご支援を頂いた方々にあらためて御礼申し上げる。

こうした厳しい状況が続いたが、中期経営計画に掲げる「総合物流企業グループへの進化」に向けた取り組みを着実に進め、その第一歩と位置付けている東京貨物ターミナル駅構内の「東京レールゲートプロジェクト」では、マルチテナント型大型物流施設「東京レールゲートWEST」について今年3月使用開始時の満床スタートを目指し最後の調整を行っている。

また新しい視点からのボトムアップで経営改革を図る取り組み「業務創造推進プロジェクト」でのアイデアの具体化、実現化を進め、次世代ITインフラシステムの導入などを行った。本年はこうした取り組みをさらに深度化し、持続的成長に向けた取り組みを加速させていく。

「東京レールゲートWEST」に続き、東隣に2022年8月竣工の計画で、「WEST」の3倍の賃貸面積を有する「東京レールゲートEAST」の建設に着手する。また「駅ナカ・駅チカ倉庫」や「積替ステーション」の設置を進め、お客さまがご利用しやすい貨物駅にし、物流の生産性向上に役割を発揮していく。

「業務創造推進プロジェクト」では、次世代ITインフラシステムの全国展開などによる業務プロセスの抜本的見直しを進めるほか、貨物駅の自動化や次世代車両の導入の検討、IoTやビッグデータなどの新技術の活用、新規事業の具体化、海外事業の展開など、スピード感を持って経営基盤の強化を進める。

(藤原秀行)

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