マスクなど急増に対応、民営化後初
※15日午後5時すぎに配信した記事の内容を差し替えました
日本郵便は2月15日、新型コロナウイルスによる肺炎感染が拡大しているのに関連し、中国向けにマスクなどの国際郵便物が急増しているため、日本貨物航空(NCA)から独自にチャーターした貨物機による輸送を本格的に開始した。
東京・江東区の「東京国際郵便局」では同日午前、作業スタッフが中国向けの荷物を主要都市別に仕分けて大型トラックへ積み込み、成田空港へ順次出発。第1弾として同日午後に大連行き、深夜に上海行きの荷物を載せたNCAの計2機が同空港を飛び立った。このうち、同日午後11時すぎに離陸した上海行きチャーター機はマスクや書類など1万7千通、31トンを搭載した。
東京国際郵便局
数多く集められている中国・大連向けの荷物
進められる仕分け作業
成田空港への出発準備を進めるトラック
2007年の郵政民営化後、同社が国際郵便物をチャーター便で輸送するのは初めて。同社によれば、1月27日から2月2日までの1週間で、荷受けした中国へのEMS(国際スピード郵便)は通常の9倍に達したという。現在は肺炎感染拡大で航空各社が中国向けを減便しており、同社の輸送能力は5~7割落ち込んでいるため、独自に配送手段を確保することにした。
日本郵便の三苫倫理郵便・物流業務統括部長は東京国際郵便局で取材に応じ、これまでにも膨れ上がった国際郵便物に対応するため、臨時で倉庫を確保したり、本社や支社などから郵便局の現場に人員を派遣したりといった対応を進めてきたと説明。2月中に計6便をチャーターする計画を明らかにした上で、「他国経由の輸送なども生かして、できるだけ早急に多くの郵便物を届けていきたい」と語った。
東京国際郵便局の奥垣内隆郵便企画部長は、数年前に中国人旅行者らの“爆買い”で国際郵便物が急増した時以来の混乱となっていると明かした上で「増加のペースが急だったのは前回と異なる」と指摘した。
積み込みを待つ大量の荷物
「がんばれ中国郵政」のメッセージがかけられた荷物
荷物を搭載し滑走路に向かうチャーター機
(藤原秀行)