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【独自取材】大和ハウス工業、ロボット考慮設計の物流施設を展開

【独自取材】大和ハウス工業、ロボット考慮設計の物流施設を展開

中央車路排し1フロア広く、AGVなど自由に使える空間確保

大和ハウス工業は、物流現場の人手不足で機械化・省人化のニーズが高まっているのを考慮し、物流ロボットを活用しやすい設計とした物流施設を展開していく構えだ。大型施設の定番ともいえる中央車路などの機能にこだわらず、入居が想定されるテナント企業がより自由に使えるスペースとし、差別化を図りたい考えだ。

同社と傘下でEC事業者向けフルフィルメント・サービスなどを手掛けているアッカ・インターナショナルは2019年、米スポーツ用品大手ナイキの日本法人と国内の物流センター運営で連携を開始。千葉県市川市でESRが開発した大型物流施設「ESR市川ディストリビューションセンター」で展開しているナイキの物流センター「The DUNK」で、中国のロボットメーカーGEEK+(ギークプラス)の物流ロボット「EVE」を200台以上使い、入出荷作業の迅速化で効果を挙げている。ナイキの商品販売が好調なことを受け、ロボットを使うスペースを拡大することも視野に入れている。

大和ハウスはナイキの事例のように、商品を収めた棚を持ち上げてピッキングエリアまで運ぶタイプのAGV(無人搬送車)などのニーズは今後も多品種を頻繁に出荷する必要があるEC事業者などの物流現場で見込まれると想定。物流施設も各種ロボットを取り入れやすい環境とすることを検討している。

その一環として、同社が千葉県流山市で進めている大型物流施設開発プロジェクトの中でも、建設中の大型施設は中央車路を設けず、奥行きを取ることで1フロアをより大きく使えるようにすることを検討している。AGVのように庫内を縦横無尽に移動するロボットを投入しやすくする狙いがある。

テナント企業のニーズを踏まえて開発するBTS型に加え、マルチテナント型もエリアや規模などで物流ロボットの活用が見込まれる業種の入居が想定される場合は、一部フロアを広い造りとすることなども視野に入れている。

同社で物流施設開発事業を牽引する浦川竜哉取締役常務執行役員は「ワンフロアを広く使えるようにすると、ロボットを使う際にも非常に柔軟性、可変性のある利用ができる。原状に戻すのも数時間で可能。現在のような環境がどう変化するのかなかなか読みにくい状況では、そうした柔軟性、可変性を持ち、どのような変化にも対応していけるようにすることが重要」との持論を展開する。


「The Dunk」で活用している物流ロボット「EVE」


千葉・流山で開発している「DPL流山Ⅳ」の完成イメージ(いずれも大和ハウス工業提供)

バース管理効率化ソリューション、全マルチ型施設に導入

ロボット対応を通じた物流施設のハードとしての機能向上に加え、付加価値を高めることにも引き続き注力する方針だ。17年から資本・業務提携しているスタートアップ企業Hacobu(ハコブ)のトラック運行管理支援サービス「MOVO(ムーボ)」を活用したトラックバースの管理効率化ソリューションを、大和ハウスが開発するマルチテナント型物流施設の全てに導入。テナント企業がソリューションを利用することでトラック待機時間削減などの恩恵を受けられるよう努めている。

昨年9月に大和ハウスがHacobuのほか、日野自動車や三井不動産、アスクルなどと連携し、MOVOを軸として物流施設の入出庫頻度などのビッグデータを収集、トラック輸送などの物流業務を抜本的に効率化していく構想を打ち出した。浦川氏は「まだまだデータは圧倒的に不足している。少なくとも半年から1年は蓄積する必要がある。データ量自体を増やした上で、入出荷の最適化などを分析していく形になると思う」と予測。物流施設がビッグデータの収集と活用の両拠点とすることで、より物流業界に貢献していくことを目指している。

(藤原秀行)

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