大阪木津市場の加工場を“セントラルキッチン”に
鴻池運輸が物流を基点に食品の仕入れ・加工・調理・販路開拓までを一貫して手掛けるニュービジネスを計画している。
来年4月の操業開始予定で大阪木津卸売市場内に建設する「多機能型OEM食品加工場」では、農水産物を切る・煮る・焼く・蒸すなどといった工程に加えて「調理やレシピの開発も行うフードプロデュース機能を備えたセントラルキッチンになる」(同社関係者)との方針を示し、一般的な食品加工とは一線を画したアプローチで事業領域の拡大を図る考えだ。
10月10〜12日にかけて千葉・幕張メッセで開催された「第2回“日本の食品”輸出EXPO」(主催・リード エグジビジョン ジャパン)では、加工場の紹介やサンプル食品の展示・試食、高度急速冷凍加工装置のデモンストレーションなどを実施した。
急速冷凍ではブランテックインターナショナル(東京・千代田区)の「ハイブリッドアイス」を採用する。高濃度塩水をマイナス21.3度の雪状アイスに瞬間的かつ低コストで製氷可能な装置であり、これを用いると活魚は1~2分程度の短時間で表面は凍結状態になる。従来の空冷やアルコール冷媒と比べて20倍の早さとなり、瞬間的に凍結させることで食材の細胞分解を抑えて生きた状態に近い鮮度を保つ。
加工場を基点に仕入れ先や販路の開拓も進めていく。同社関係者は「広範・多様な装置を実装することでフードチェーンの前工程に踏み込み、生鮮食品の生産者と需要家である小売事業者や卸売事業者、飲食事業者の橋渡し役を担うことで輸送・保管など物流業務の受注機会も広がる」と期待を寄せる。
さまざまな業種で培ってきた流通加工、製造支援の実績とノウハウは生鮮食品分野でも応用・展開できると展望。安全面では数年以内に世界基準の衛生管理システム「HACCP」の認証取得も計画している。レシピ開発ではコンサルタント企業と連携する。
同社では世界的に認知度・注目度が高まっている和食の品質やブランド力などに着目した「和食材輸出ビジネスのプラットフォーム構築構想」の具現化を検討中。物流の観点から国内・海外で日本産食品の拡販に意欲を見せている。
(鳥羽俊一)