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【独自取材】安全運行サポーター協議会が2018年度末にも「体調予報」開始へ

【独自取材】安全運行サポーター協議会が2018年度末にも「体調予報」開始へ

ドライバーの疲労感じる度合いを予測し事故回避

 輸送事業者の労働安全確保を支援する「安全運行サポーター協議会」(会長・酒井一博大原記念労働科学研究所長)が、先進技術を駆使した事故回避支援サービス「体調予報」の準備を着実に進めている。トラックやバスのプロドライバーがどの程度疲れを感じるかを、体調などに関するデータを基にあらかじめ予測、ドライバー本人や運行管理者が適切な対策を講じられるようにし、事故を未然に回避するとの流れだ。

 これまで事業者の協力を得て実証実験を重ね、予測の精度を高めることに成功、実用化に向けて大きく前進した。2018年度末から19年度初めをめどにサービスを本格的にスタートし、19年度に累計で事業者500社の利用を目指す。過労などドライバーの体調に起因する事故を大きく減らすことにつながるかどうか、関係者の注目を集めている(この記事は月刊ロジスティクス・ビジネス2018年9月号に掲載したものを再構成した)。

「コアモデル」と「ハイエンドモデル」の2種類を想定

 協議会は過労が原因で高速バスの大事故が起きたことなどを受け、民間主体で再発防止に取り組むため、14年11月に発足した。当初は任意団体としてスタートし、16年から大原記念労働科学研究所の一組織へ移行した。

 運送事業者や荷主企業、運送業界団体のほか、デジタコや健康機器のメーカー、学識経験者、NPO法人といった幅広い分野の「集合知」を生かす異業種横断型組織として研究活動や政策提言などを進めている。

 体調予報は協議会の誕生当初から大きなゴールの一つに位置付けられてきた。大原記念労働科学研究所の研究スタッフとしても活動している同協議会WGの北島洋樹主査は「会員の方々の間でこうしたサービスを提供し、事故防止と労働環境の改善に役立てていただきたいとの思いは早くから共有できていた」と強調する。

 現時点ではドライバーの肥満度や睡眠状況、年齢などの基本情報と、デジタコを通じて取得した運転や休憩、荷積み・荷降ろしに要した時間、勤務の間隔、連続勤務数などの情報を組み合わせ、次の運行時にどの程度疲労を感じているかを5段階で示すことをイメージしている。

 運行管理者が予報の内容を基に、注意を喚起したり、休憩を指示したりするほか、適切な運行計画の作成に役立ててもらいたい考えだ。

 16年度までの取り組みの結果、長距離トラックや高速乗り合いバスのドライバーからはデータを取得、一定の予測精度を確保することができた半面、地場運送会社や貸切・乗り合いバスのドライバーからは十分なデータを得られていなかった。

 現実を踏まえ、17年度の活動テーマとして、より広範囲なドライバーの協力を得てデータを収集し、予測モデルの確立を目指してきた。その結果、17年度には運送事業者8社、ドライバー381人の協力を得ることができた。

 北島主査は「多様な業態や条件下でサービスを試験的に使っていただいたことで解析が進み、トラックとバスの両方で実用化に耐えるだけの精度まで向上していることが確認できた」と話す。

 予報に関しては、前述のデータを駆使する「コアモデル(α版)」に加え、観測用の機器を使い、ドライバーが点呼を受けている際の血圧や脈拍、体脂肪率、運転中に感じている眠気、荷積み・荷降ろしの運動量などをリアルタイムで取得し、より精度を上げる「ハイエンドモデル(β版)」の2種類を想定している。

 コアモデルは出庫・帰庫時を想定しているのに対し、ハイエンドモデルは荷積み、荷降ろしといった作業ごとにも体調の予測をできるようにするイメージだ。

ドライバー5万人の利用獲得目指す

 体調予測に対してはトラック、バス業界からも注目を浴びており、早期の実用化が待たれている。サービス展開に際しては、協議会が体調予報のアルゴリズムを確立し、ドライバーの体調などのデータを収集、分析して予報を作成した上で、デジタコやヘルスケア機器などへ配信、製品に組み込む形で輸送事業者に活用してもらうスタイルを採用するとみられる。

 北島主査は「当面はまずα版を先行して実用化させ、並行してβ版もサービスを開始したい。いずれは両方提供できる形に持っていきたい」と意欲を見せる。協議会が外部の団体などとも連携して積極的に普及啓発活動を展開し、22年度までの累計で2千社、5万人のドライバーに利用してもらいたいとの壮大なシナリオを描いている。

(藤原秀行)


「体調予報」のイメージ(安全運行サポーター協議会ウェブサイトより)

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