新型コロナウイルス感染症への対応について

【独自取材、新型ウイルス】“コロナ危機”がサプライチェーンなどの「長期的な構造変革進める」と展望

【独自取材、新型ウイルス】“コロナ危機”がサプライチェーンなどの「長期的な構造変革進める」と展望

soucoリポートで海外の新技術開発動向紹介

倉庫の空きスペースと保管を希望する荷物のマッチングサービスを展開しているスタートアップ企業のsouco(東京)は6月29日、新型コロナウイルスの感染拡大がサプライチェーンやロジスティクスのイノベーションに及ぼす影響を解説したホワイトペーパー(リポート)の無償公開を自社ホームページ上で開始した。

「自動化/ドローン(無人飛行機)/ロボット工学」と「デジタル化」、「IoT(モノのインターネット)」の3分野に焦点を当て、海外のスタートアップ企業がどのように「ウィズコロナ・ポストコロナ」への対応を後押しする新たな技術開発に取り組んでいるかなどの現状を報告した。

「企業は新型コロナウイルスがもたらした危機によって深刻なダメージを被る一方で、イノベーションのペースと技術的ソリューションの採用を加速させることにより、目の前のニーズに対応し、長期的な構造変革を進めようとしている」と分析。現場での密集回避や接触機会低減のための自動化・省人化が強く求められており、そうしたニーズに応えられる新技術を生み出せたスタートアップ企業に成長の機会が生まれると強調、新たな技術開発・普及が促進されるとの見解を表明した。


ホワイトペーパーの表紙(souco提供)※クリックで拡大

「倉庫自動化への経済的動機はいっそう高まる」

soucoが6月29日、正式に発表した。ホワイトペーパーは、「自動化/ドローン/ロボット工学」について、小売業者や医療機関、ロジスティクス企業がスタートアップ企業と連携し、ラストワンマイルの配送能力強化と配送スタッフの新型コロナウイルス感染リスク削減を図っている事例を紹介。一例として、米カリフォルニア州マウンテンビューに本拠を置くスタートアップ企業Nuro(ニューロ)の自律走行車が、臨時の治療施設に勤める医療従事者への食料品や医療用品を運ぶために活用されており、受け取る際は車両のカメラに親指を立てれば遠隔操作でドアが開くため、接触を減らせるようになっているケースに言及した。

周囲の人と一定の距離を保つソーシャルディスタンスの必要性が高まる中、倉庫事業者は自動化率を高めることで人間同士が接触するポイントを極力減らし、作業スタッフ間の距離を広げるとみられ、「パンデミック(世界的大流行)の影響でeコマースの取引量が急増の一途をたどっていることから、倉庫自動化に対する経済的な動機はいっそう高まる」との予測を示した。

「デジタル化」に関しては、冒頭で2012年に香港で設立された、コンテナ追跡ソフトを手掛けるOcean Insights(オーシャンインサイツ)がロジスティクスの専門家を対象に実施した調査結果を引用。新型コロナウイルスを理由にテクノロジーへの投資を増やすと答えたのが全体の76%に達した半面、新たに従業員を採用すると回答したのは33%にとどまったことに触れ、「これら2つの回答は、今後の世界のロジスティクス業界においてトレンドになるだろう」と指摘している。

最近の事例としては、航空貨物の企業間決済円滑化サービスを手掛けるPayCargo(ペイカーゴ)は、新型コロナウイルスの感染拡大による航空便欠航拡大の混乱を受け、荷主企業とフォワーダーなどが積載容量の新たな空き状況と需要をやり取りできる新たなコミュニケーションサービスを創設。ピンチをチャンスに変えようとしていることを取り上げた。

「変化に最善の形で適応した企業が今後10年、成功に向けたポジションを確保」

「IoT」では、荷物の所在地をリアルタイムで確認、需要の変動を踏まえた航空便などへの輸送割り当てを効率化する上で役立っていると指摘。そのモデルケースとして、輸配送車両管理を展開している米Geotab(ジオタブ)がトラックに搭載したIoT機器を生かし、商用車全体の稼働率を追跡していることに言及した。

米コンサルティング会社のABIResearch(ABIリサーチ)によれば、20年のIoT機器の純増数は新型コロナウイルスの感染拡大が響いて従来比18%落ち込むと予想しており、ホワイトペーパーも大型車両・設備関連の市場が最も大きな影響を受けると分析。しかし、ABIリサーチは経済回復が進んで企業の採用が加速するにつれ、IoTソリューションに期待されている成長と活動の増加は再開すると展望していることを引き合いに出し、中長期的にIoTの活用は伸びていくとの見方をにじませた。

総括として、企業は新型コロナウイルス以降、次のショックに備える能力を強化する方向へ動き、ソリューションの技術的フロンティアにますます目を向けつつあると解説。「世界中の企業はイノベーションへの取り組みと変化への適応を迫られるだろう。それを最善の形で行うことができる企業こそが今後の10年間、成功に向けたポジションを確保することになる」と締めくくった。

(藤原秀行)

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