四国エリアで共同物流推進、全国に先駆けた自動運転やドローン実用化も

四国エリアで共同物流推進、全国に先駆けた自動運転やドローン実用化も

政投銀四国支店がリポート、深刻なドライバー不足受け提言

日本政策投資銀行四国支店(高松市)はこのほど、「人口減少下における四国の物流の現状と課題~人口減少下およびウィズ・アフターコロナにおけるレジリエントでサステナブルな物流の構築に向けて~」と題するリポートを公表した。

四国地域のトラックドライバー不足が深刻な状況にあり、その背景には労働条件の厳しさや荷主企業とトラック運送事業者の連携不足による労働生産性の低下などが見られると分析。新型コロナウイルスの感染拡大の影響下でも物流を持続させていくために、業種の枠を超えた共同物流の推進、全国に先駆けた自動運転やドローン(無人飛行機)などの実用化と規制緩和を講じるよう提案した。

労働市場の新陳代謝進まず

リポートは、四国に本社を置くトラック運送事業者1041社と取引先の活動状況を分析した結果、四国のトラック運送事業者は大きく分けて、四国外の荷主企業や物流事業者の窓口となり、域内の元請け的役割を果たしている「第1層」、域内のトラック運送事業者間の取引の橋渡し役を担っている「第2層」、建設業や卸売業を中心として地域に密着した物流を手掛けている「第3層」で構成されると指摘した。

経営課題では、四国に本拠を置く企業を対象にアンケートを実施。トラック運送事業者247社、荷主企業94社の回答結果を集計したところ、トラック運送事業者の77%が「ドライバーの確保ができなくなっている」と答えたほか、荷主企業の38%も「トラックドライバー不足を理由に運送会社から輸配送を断られることが増えている」を選択しており、厳しい状況が浮き彫りとなった。

トラック運送事業者不足の大きな要因(複数回答)としては「賃金水準が低い」が54%で最も多く、「労働時間・拘束時間が長時間に及ぶ」(47%)、「若者の自動車離れ」(42%)、「人口減少」(40%)などと続いた。

トラック運送事業者にドライバーの前職が何かを尋ねた結果(複数回答)、「同業他社のトラックドライバー」が72%で、「新規学卒者」は3%にとどまった。政投銀四国支店は「新卒者の就職が極めて少なく、ドライバーが業界内で転職しており、労働市場の新陳代謝が極めて低い」との見解を示した。

さらに、低賃金や長時間労働などの問題解決へ「採用の多様化など魅力的な職場を形成することと、ドライバーの労働条件・労働環境の見直し・改善についてトラック業界と荷主企業などが共同して取り組むことが重要」と指摘した。

共同配送実施は荷主のわずか16%

四国の荷主企業に共同配送実施の有無を聞いたところ、実施していると答えたのは16%(15社)にとどまり、共同物流が進展していないことをうかがわせた。実施している15社に共同物流を進める上での問題点を確認したのに対し、「車両台数の調整が難しい」との回答が8割の12社から寄せられた。

3層構造を踏まえた解決の方向性として、全国で進められている共同物流やマテハン機器などの標準化の流れを四国地域に取り組むことが重要と強調。その際、まず第1層を担う物流企業が全国的な共同物流・標準化のプロジェクトに参加することを契機として、第2層から第3層へ取り組みを広げていくよう提言した。

併せて、帰り荷や車両、ドライバーなどのマッチングを担うプラットフォーム機能を構築し、BtoCの物流において自家用トラックを活用したり、公共交通機関との「貨客混載」を進めたりとシェアリングサービスを展開していくよう検討する必要があると強調した。こうした取り組みを促進するため、四国地域の物流で規制緩和を推進する必要性にも言及した。

(藤原秀行)

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