旅客需要減で資金繰りに懸念、役員報酬削減など進めると表明
佐渡汽船は7月10日公表した2020年12月期の第1四半期(1~3月)決算の中で、「継続企業の前提に関する注記」を掲載した。
同社によると、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言の発令で観光客の利用激減などあおりを受け、売り上げが著しく減少。連結営業損益は9億1900万円の赤字となり、前年同期より赤字幅が拡大した。
感染に収束が見えず、旅客輸送需要回復には一定期間を要すると見込まれるため、営業債務の支払いや借入金返済などの資金繰りに懸念が生じており、第2四半期(4~6月)には債務超過に転落する見込みと説明、「継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在している」と指摘した。
同社は債務超過解消に向け、常勤取締役の役員報酬や部長・課長以上の管理職の給与・賞与削減、高速フェリーからジェットフォイルへの転換による経費抑制などを進めると表明。含み益のある資産の売却検討や財務基盤の良好な一部連結子会社の完全子会社化などによる資本・財務基盤強化を図ると強調している。
併せて、「取引金融機関に対し、新型コロナウイルス感染症対応資金として総額で約37億円の資金調達を要請し、交渉を行っている。当社グループとしては、メーンバンクを中心に各金融機関と密接な関係を維持できていることから、継続的な支援が得られるものと考えている」と訴えた。
加えて、従来は黒字を見込んでいた20年12月期連結業績予想をいったん取り下げ、未定と変更した。
(藤原秀行)