自動倉庫システムなど前橋の新倉庫棟でノウハウ蓄積、横展開目指す
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東洋製罐系の東洋メビウス(東京・西五反田)は、全国に展開している物流拠点の自動化・省人化を加速させていく構えだ。今年5月に完成、6月から稼働している前橋市の「前橋物流センター」新倉庫棟で同社初の試みとして自動倉庫システムを取り入れるなど、ノウハウの蓄積を目指している。
「前橋物流センター」の新倉庫棟
物流現場の深刻な人手不足は今後も続くとみて、今後新設する物流拠点は各種自動化機器を標準的に取り入れるのに加え、既存の物流拠点でもオペレーションを見直し、可能なところから自動化・省人化を図っていくことを想定している。
東洋メビウスは1954年設立。親会社の東洋製罐が製造している飲料・食品メーカー向けの容器などをベースカーゴとして取り扱っているほか、外販にも注力している。大手飲料メーカーの商品受発注から入出荷、輸送を包括的に請け負うなど、トータルで物流の効率化をサポートするサービスも積極的に拡大している。
現在は全国で20カ所以上の物流拠点を構えている。多くは東洋製罐の生産拠点と連携する形になっているが、自社単独の物流センターとして運営しているケースもある。前橋物流センターでは新たに開発した新倉庫棟で東洋メビウスとしては初めてとなる高密度保管システム「シャトルランナー」を設置。メーンの荷物となる飲料などを大量かつ高効率で保管し、入出荷をスムーズに行えるようにするのが狙いだ。
導入した「シャトルランナー」。パレット積み貨物を高速で収納場所まで運ぶ
同社の吉田勝営業推進部長は「当社は安全・安心が強く求められる飲料や食品の容器を長年取り扱っており、温度や湿度、光で製品の品質が劣化しないよう細かく配慮するなど、レベルの高い作業を日常的に行っている。今回導入した高密度保管システムも製品を3段積みしているが、既に当社内では高効率の保管を実現するため4段積みを行っており、技術の水平展開が自動化設備にも生かせている」と強調。適切な自動化・省人化によるサービスレベル向上は外販獲得にも生かせると見込む。
自社の既存施設に対しては、作業や扱う荷物の内容に応じて、独自のマテハン設備を開発することも視野に入れており、マテハンメーカーとも協議しているという。吉田部長は「設備を入れることありきではなく、何が最適なのかを拠点ごとにしっかりと考えていきたい」と強調している。
(藤原秀行)