トータルで235の企業・団体、運輸・郵便業は13社に
経済産業省は8月7日、下請け事業者との取引関係適正化やIT導入による業務効率化などを進め、サプライチェーン全体の付加価値向上を図ることを自主的に公約する「パートナーシップ構築宣言」に関し、新たに169の企業・団体が公表したと発表した。
物流業界からは西濃運輸、カンダホールディングスと傘下のカンダコーポレーションなどが参加した。先に公表した企業・団体と合わせると、トータルで235に上り、このうち「運輸・郵便業」は8月7日時点で13社に達している。
同宣言は今年5月に制度の導入を決め、全国中小企業振興機関協会が運営する専用のポータルサイト上で各社の宣言内容を公開している。新型コロナウイルスの感染拡大による経済情勢悪化で中小企業や小規模事業者が取引条件などで不利な扱いを受けないようにするとともに、外部の技術や知見を積極的に取り入れる「オープンイノベーション」や業務のデジタル化を促進する狙いがある。
宣言自体に法的拘束力はないが、政府は宣言を公表した企業に補助金の優遇措置を講じて実施を後押ししている。企業にとっても社会的なイメージアップにつながるとの効果を期待しており、国土交通省などが進める「ホワイト物流」推進運動と似た仕組みだ。
各企業は宣言の中で、他社とのオープンイノベーションやM&Aによる事業承継支援などの「企業間の連携」、共同EDI(電子データ交換)の構築やデータの相互利用など「IT実装支援」、「専用人材マッチング」の3項目の中から積極的に取り組むものを選定。具体的な内容を記載している。
さらに、下請け事業者との間の望ましい取引慣行を順守し、公正なパートナーシップ構築の支障となる取引慣行や商慣行の是正を積極的に図ることを明示。不合理な原価低減や下請け代金の現金支払い励行、片務的な秘密保持契約の回避などを進めることも打ち出している。
西濃運輸は宣言で、サプライチェーンの情報化・可視化による業務効率化、モーダルシフト採用などによる輸送の生産性向上、下請事業者への不合理な原価低減要請回避などを盛り込んでいる。カンダホールディングスはオープンイノベーションを生かした新規事業創出と業務効率化、片務的な秘密保持契約の締結回避などを打ち出している。
(藤原秀行)