「ハイテク型3PLセンター」開発に意欲、宅配ネットワーク整備も継続

「ハイテク型3PLセンター」開発に意欲、宅配ネットワーク整備も継続

SBSHD・鎌田社長が事業戦略など説明、東芝ロジ買収で海外事業拡大に期待

SBSホールディングスの鎌田正彦社長は8月25日、東京都内の本社で物流業界メディアと会見し、事業戦略などについて説明した。

鎌田社長は、東芝傘下の東芝ロジスティクスを10月1日付で子会社化することに関し、同社が手掛ける重量物や家電などの物流業務を取り込めると指摘。「これでだいたい何でもできる物流会社になれる」と語り、中核の3PL事業などの成長持続にあらためて意欲を示した。

併せて、「当社の海外展開はフォワーディングが中心だった。東芝ロジスティクスと組むことで、海外でもロジスティクスを展開できるようになる」と述べ、東芝ロジが欧米やアジアで展開している拠点を活用した海外での3PL事業拡大にも大きな期待を見せた。

また、物流業務の自動化・省人化に向け、先進的技術を積極的に導入していく姿勢をアピール。「ハイテク型の3PLセンターを開発しようと考えている」と述べ、国内外のスタートアップ企業が手掛ける技術の活用も積極的に検討していく意向を表明。BtoBとBtoCの両面で宅配ネットワーク整備を継続することも明言した。


会見に臨む鎌田社長

海外M&Aは「適正価格の案件以外やるべきでない」

鎌田社長は「物流会社は大手企業もそもそも買収で拡大してきた歴史がある。当社もどうやって大手と肩を並べるかを考えた時に上場とM&Aにたどり着いた」と説明。現状でも複数の企業からM&Aを打診されていることを明らかにした上で「まずは東芝ロジとの合流に時間を要する」と語り、当面は東芝ロジスティクスとの経営統合作業を優先する意向を示した。

海外のM&A戦略に関しては「過去にインドのM&Aで大失敗した。その時の経験から適正価格の案件以外には積極的にはやるべきではないと考えている」と語り、慎重に検討するスタンスを明らかにした。

事業基盤の物流拠点に関しては、SBSグループの50万坪と東芝ロジの20万坪を合わせて70万坪の現状から、当面は100万坪に積み上げていくとの目標に言及した上で「それだけの規模になれば保管スペースが増えるのでロジスティクスの仕事も広がっていく。100億円、200億円の案件も手掛けられるようになる」と大型案件の獲得につなげていく狙いを語った。

SBSグループで拡大を図っている宅配分野については「大手3社と渡り合っていくつもりはない。できる地域だけでもきちんと手掛けていきたい」と強調。同時に「値上げや値下げを繰り返すことに憤りを感じているお客さまもいらっしゃる中で、何とかサービスを継続して提供してもらえないかという依頼がずっと来ている。対面できちんと届けられるネットワークは作っていきたい。大規模センターを作ってECの物流をもっと合理化することを考えた時に宅配のネットワークが必要になる」と持論を展開し、読売新聞社の販売店とのラストワンマイル配送連携などの取り組みを引き続き着実に続けていく方針を重ねて提示した。

(藤原秀行)

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