コロナ禍で先行き不透明受け手元資金確保か、短期借入金もプラス
ロジビズ・オンラインが主要な上場物流企業80社の今年6月末時点の財務状況を集計したところ、現預金が総額で前年同期より16・7%増え1兆8683億円に上ったことが分かった。2020年に入って新型コロナウイルスの感染拡大に伴い経済情勢の先行きが不透明感を増しているため、当面の運転資金を確保しようとする動きが強まったものとみられる。
短期借入金も25・9%増の1兆1393億円となった。80社のうち、現預金が前年同期より増えたのは7割の56社、短期借入金が増加したのも5割強の44社に達した。
19年6月末の総額は現預金が前年同期より5・9%減、短期借入金でも12・4%減だった。新型コロナウイルス禍で上場物流企業の姿勢が大きく変わったことがうかがえた。
ロジビズ・オンラインの集計では、21年3月期の第1四半期(4~6月)決算を開示した主要上場物流企業73社のうち、売上高が前年同期から減少したのが8割強の63社、営業利益が減少したり赤字となったり、赤字の幅が前年同期から広がったりしたのが7割強の56社だった。新型コロナウイルス禍が物流業界にも影響を及ぼしていることが鮮明となり、手元流動性を厚くする動きにつながっているようだ。
財務状況の集計は6月末時点の現預金や短期借入金を決算短信で確認できる3月期、6月期、12月期の企業を対象に実施した。大半は「現金および預金」だが、一部企業は「現金および現金同等物」の表記となっている。
(藤原秀行)