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日本の不動産市場透明度、20年は世界16位に後退も改善持続

日本の不動産市場透明度、20年は世界16位に後退も改善持続

JLLとラサール調査、物流施設の取引活発化貢献か

米不動産サービス大手ジョーンズ ラング ラサール(JLL)とラサール インベストメント マネジメントは9月10日、世界の主要国・地域で商業用不動産市場がどの程度情報開示に積極的で投資判断しやすいかを比較した「2020年版グローバル不動産透明度調査」の結果に関するオンライン説明会を開催した。

日本の透明度は世界99カ国・地域の中で16位と、前回の2018年調査時から2つ順位を落とした。ただ、JLLはポイントの絶対値で見れば改善傾向が続いていると指摘。改善の背景には18年の調査時と同じく、先進的な物流施設が国内外の投資家から注目を集めて活発に取引され、施設の機能などに関する情報開示を求める声が強かったことも寄与しているとの見解を示した。

調査は各市場の不動産取引や物件、上場企業の財務などに関する情報開示の度合い、法規制の現状といった210要素を6項目に分けて独自に分析、数値化している。1999年の開始以降、2年ごとに内容を更新しており、今年は新たに「レジリエンス(強靭性)」や「不動産テック(諸手続きをITで効率化する動き)」などに関する要素を追加した。20年の調査は新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の直前に行われた。

JLLは「(コロナ感染拡大という)逆境によって世界の不動産市場が向かうべき方向性がより明確になった。特にサステナビリティー(持続性)の分野において不動産業界が配慮すべき環境問題や、不動産を取り巻く人々への安全・衛生面、さらには刻々と変化する市場をよりリアルタイムで分析・配信するための不動産テックの普及がよりじゅうようになっている」と説明した。

日本は不動産テックの遅れなどが足を引っ張る

日本はCASBEE(建築環境総合性能評価システム)のような環境性能評価システムや建築物の省エネルギー性能表示制度など、サステナビリティーに関する透明度は高い評価を得た。

半面、18年調査時と同じく「テナントサービス」の中で共益費の情報がオープンにされていないことや、不動産テックの採用が上位の国に比べて遅れを取っていることなどが足を引っ張った。

グローバル全体では18年に続いて英国が1位となり、前回3位だった米国が1つ順位を上げて2位に入った。3位以降はオーストラリア、フランス、カナダ、ニュージーランドなどと続いた。アジアで最も上位はシンガポールで14位、次いで香港が15位だった。

説明会に登壇したJLLグローバルリサーチのジェレミー・ケリー・ディレクターは「市場の透明度が高まると投資が集まるという好循環を生み出すことができる」と取引に関するデータ整備などの意義を強調。同時に「ほとんどの国、地域で透明度の改善が続いているが、そのペースは世界金融危機以降、最も遅くなっている」と指摘、投資からの要求水準が高くなっていることに応えていく必要性を訴えた。

JLL日本の赤城威志リサーチ事業部長は「物流施設は隆盛を極めている。市場の情報も重厚、精緻なものになっている。新型コロナウイルス感染拡大の影響の下、好影響を受けている数少ないセクター。投資額は膨らんでいるし今後も開発が盛んに行われる見通しだ」と分析。透明性向上の点でも物流施設が果たしている役割が大きいとの見方を示した。

JLL日本の大東雄人リサーチ事業部ディレクターは「多くの市場がより投資資金を呼び込むため、政府と一丸となって透明度高めようとの動きが出ている。日本市場は決して取り組みが進んでいないわけではないが、それ以上に他のマーケットの透明度改善が、技術採用も含めて大きく上回っているため、相対的にランキングを落としたのではないか」と解説した。

(藤原秀行)

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