「Japan Drone 2020」で海外ゲストが予測発表、日本に取り組みの奮起促す
ドローン(無人飛行機)に関する日本最大級の国際展示会「Japan Drone(ジャパンドローン)2020 ―Expo for Commercial UAS Market-」(主催・日本UAS産業振興協議会=JUIDA、共催・コングレ)が9月29日、千葉市の幕張メッセで開幕した。
冒頭、JUIDAの鈴木真二理事長(東京大名誉教授)がウェルカムスピーチを行い、JUIDAとしてドローンの物流や警備、災害対応、医療への活用を一段と促進していく方針を表明。JUIDAが認定するスクールで操縦者や安全運航管理者の着実な育成も引き続き推進していきたいとの考えを明らかにした。
続いて、「空飛ぶタクシー」のeVTOL(電動垂直離発着機)開発を手掛けるドイツのボロコプター幹部のファビエン・ネストマン氏と、国際的なドローン市場の調査を担っているドイツのドローンインダストリーインサイツのヘンドリック・ボーデッカーCFO(最高財務責任者)がそれぞれゲストとして講演し、ドローン市場の動向などについて最新の知見を披露した。
あいさつする鈴木理事長(以下、全て「Japan Drone 2020」のオンライン配信画面より引用・クリックで拡大)
「コロナ禍はドローン業界に好影響」が回答の5割に
ネストマン氏は、eVTOL「VOLOCITY(ボロシティー)」を披露し、これまでにアラブ首長国連邦(UAE)のドバイ、米ラスベガス、フィンランドのヘルシンキなどで飛行を重ねてきたと説明。実際に人を乗せた飛行にも成功してきたと成果を強調した。
物流の面でもドイツのDBシェンカーなどと連携し、ドローンによる荷物輸送に取り組んできたと言及。日本でも今後、日本航空(JAL)や三井住友海上火災保険などと組み、eVTOLを使った輸送サービスに早期参入したいとアピールした。ネストマン氏はeVTOLに関して「コンテナ輸送などのニーズもある」と語り、物流での活用を広げていくことに意欲を見せた。
また、eVTOLを使った「エアタクシー」の搭乗予約を日本でも受け付けると発表した。
ボーデッカー氏は、グローバルなドローン市場の規模が20年見込みの220億ドル(約2兆3100億円)から25年には約2倍の430億ドル(約4兆5150億円)まで成長すると予測。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大があっても市場は拡大基調を維持するとの見解を示した。
さらに、コロナ禍の中でドローンは医薬品や水の輸送、体温の測定といった面で活躍していると指摘。他の用途としても、農薬散布やインフラ設備点検、輸配送、気象観測などで活発に使われおり、「民間企業だけでなく政府も物資運搬などに利用している」と分析した。
ドローン関連企業へのアンケート調査では、コロナ禍を捉えて新たな技術やソリューションの開発に取り組みなど前向きな姿勢が目立っていると解説。各企業への質問でも、約5割がコロナ禍はドローン関連産業に好影響を与えるとみていることを明らかにした。
最後に、同社が9月に発表した、主要国のドローン分野への取り組みの進捗度合いのランキングでは、日本は30位にとどまっていることに触れ、日本の関係者に奮起を促した。
(藤原秀行)