ヤマトHD・芝﨑副社長「合理的理由があれば自前主義にこだわらず」

ヤマトHD・芝﨑副社長「合理的理由があれば自前主義にこだわらず」

日本郵便へのDM便配達委託に続き、業界他社との協業に前向き

ヤマトホールディングス(HD)の芝﨑健一副社長は10月28日に開催した2020年9月中間連結決算の電話会見で、クロネコDM便の配達業務を21年から一部エリアで日本郵便に順次委託することに関し「労働人口が減少していく中で将来を見据えて、安定的にサービスを提供するためのネットワーク構築を自前主義にこだわらず構築する必要があると判断した。紙の配達なので市場は徐々に縮小しているが、一定のニーズがあるのできちんと販売はしていきたい」と背景を説明した。

その上で「協業という意味では、(ダブル連結の)長尺のトレーラーや客貨混載など、いろんな同業者の方々と一緒に仕事をしている。必要とあれば同業とも手を組み、より良いサービスを提供していくのが基本的な考え方」と解説。「海外も含めて、そこは従来、自分たちでずっとやろうとしていたことに関し、きちんと合理的理由および経済的合理性もあるものに関しては、自前主義ではなく協業を進めていきたい」と語り、業務効率化を図るため、状況に応じて同業他社との連携を積極的に検討していく姿勢をのぞかせた。

中間連結決算が増収増益となった点については、新型コロナウイルスの感染拡大に伴うEC利用急増が収益を押し上げたとの見解を表明。同時に「まず(宅配荷物の処理などの)データを使い、社員の適正配置など労働時間を圧迫せずに荷物を受け入れる準備をしていたところにECの荷物が入ってきたことで数字につながった。(収集したデータを分析し、意思決定や戦略立案に活用する)データドリブン経営によってECの荷物を受け入れられたため、増収増益につながった」と物流データ活用の効果を強調した。

(藤原秀行)

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