新型コロナウイルス感染症への対応について

【独自取材】ESR、川崎・東扇島で12月に巨大物流施設群の開発本格化へ

【独自取材】ESR、川崎・東扇島で12月に巨大物流施設群の開発本格化へ

年間着工数ナンバーワン目指す:スチュアート・ギブソンCEO独占インタビュー

ESRのスチュアート・ギブソンCEO(最高経営責任者)はこのほど、ロジビズ・オンラインの単独インタビューに応じた。

ギブソンCEOは、新型コロナウイルスの感染拡大が続く中でも、同社が注力している先進的な機能を持った大規模なマルチテナント型物流施設「LMT」の需要は引き続き旺盛と指摘。今年12月に同社最大規模の物流施設群開発を川崎市の東扇島エリアで本格化させるなど、今後も3大都市圏を軸に優良な開発用地を積極的に取得、開発していきたいとの考えを示した。

また、物流施設の人手不足に伴い自動化・省人化の機運が高まっている現状を踏まえ、将来必要とされる物流施設像を研究する専任組織を立ち上げたことを明らかにし、ドローン(無人飛行機)活用などの方策を探っていくことに強い意欲を見せた。今後の目標としては、日本を含めて事業展開しているアジア太平洋の6カ国において年間の物流施設着工数でナンバーワンを目指したいと語った。


ギブソンCEO(以下、写真は全てESR提供・クリックで拡大)

前年比2倍の賃貸借契約締結へ

――新型コロナウイルスの感染拡大が続いていますが、御社の物流施設開発には影響が出ていますか。
「コロナの感染拡大が始まったころは、社会全体として先行きがどうなるか分からなかった部分が多かったですが、これまでを振り返ってみれば、当社としては業務継続などの面で柔軟な対応ができたのではないかと思っています。eコマースの需要が増え、テナント企業の方々が物流施設を使いたいという需要も拡大しました。そうした声にしっかりとお応えして、ニーズに合った物流施設をご提供できたと考えています」

――柔軟な対応が可能になった背景はどこにありますか。
「従業員とご家族の安全を最優先に考え、テレワークができるようWi-FiなどのIT環境を迅速に準備したことで柔軟な対応が可能になり、コロナ禍でも変わらずに業務を継続することにつなげられたと思います。加えて、物流施設の工事も中国の武漢やインドなど一部で遅れが生じましたが、全体としては大きな混乱はありませんでした。ゼネコンの皆さんが非常に頑張ってくださり、物流施設が予定通りに竣工し、当社が収益を得られたことも柔軟な対応を後押ししたのではないでしょうか。テナント企業の賃料支払いも特に滞ったりはしませんでした」

――日本で御社が開発を進めてきた大型の物流施設が相次ぎ竣工しましたが、テナント需要が強いことがうかがえます。過去1年間の日本での事業展開に満足していますか。
「20年末までに年間で前年比2倍となる約75万平方メートルの賃貸借契約を締結できる見通しです。これは当社としては過去最高の数字です。非常にハッピーな状況だと感じています」

――6月末に兵庫県尼崎市で完成した、延べ床面積が38万8570平方メートルと1棟の規模ではアジア太平洋地域で最大級のLMT「ESR尼崎ディストリビューションセンター(DC)」もリースは好調のようですね。
「竣工時点で既に賃貸面積の7割で入居企業が契約を締結されたり、内定したりしていました。実は私はESRに入社する前に、関西エリアで物流施設開発を手掛けて、すごくうまく行った経験があり、自信は持っていました。着工後に関西圏の物流施設の空室率が上昇し、オーバーサプライ(供給過剰)と言われ、同業他社が開発を控えたこともあり、結果的に関西圏の需要に応えることができました。われわれは供給過剰なのはいつか調整されるだろうと考えていました。尼崎のプロジェクトは非常にうまく行っています」

――最大のマーケットの首都圏をはじめ、3大都市圏が引き続き事業の中心となりそうでしょうか。
「当社が得意としているLMTは汎用性が高く、お客さまのさまざまなニーズに対して柔軟に対応できる点が強みです。テナントの皆さまにとってはワンオペレーションが可能となり、物流効率化などビジネスの発展にも貢献できます。EC需要の拡大に伴い、さらに倉庫スペースが必要とされるはずです。LMTへの需要はこれからさらに強まると見込まれます」
「今年12月には川崎市の東扇島エリアで当社としては過去最大級となる総延べ床面積が約65万平方メートルの物流施設群の開発を本格化させます。他にも、既に公表している横浜市の『ESR横浜幸浦DC』(1期目は延べ床面積19万5270平方メートル)や三重県木曽岬町の『ESR弥富木曽岬DC』(15万3092平方メートル)などの大型案件が進行中です。今後も3大都市圏で優良な開発用地の取得に注力していきます」


「ESR横浜幸浦DC」の1期目(上)と「ESR弥富木曽岬DC」の完成イメージ

6カ国の社員が物流施設の未来を考える

――昨今は物流現場の人手不足で自動化・省人化が大きな課題となっており、デベロッパーも対応を迫られています。御社は庫内オペレーションの自動化ニーズにどう対応していきますか。
「テクノロジーの動きにキャッチアップするのではなく、その一歩先を行こうと頑張っています。今はESRが営業拠点を構えている6カ国の社員で構成した専任組織『フューチャーソリューショングループ』を立ち上げ、将来必要とされる物流施設像の研究を進めています。例えば、倉庫の屋根にドローン(無人飛行機)が着陸し、荷物を積載して運ぶスペースを設けることなどを、具体化に向けて研究しています」
「テクノロジーはまさに日進月歩で、5年後には倉庫スペースの仕様や機能が現状から大きく変化しているでしょう。テナントの皆さまから求められているものは何かをキャッチし見極めていく必要があります。他にも、将来のロボット導入などに備えて電力容量の拡大も重視しています」

――御社の物流施設の大きな特徴の1つに、従業員の方々が快適に就業できる環境を整備する「ヒューマンセントリックデザイン」との基本理念を徹底していることが挙げられます。これまでにもリラックスできる共用ラウンジや子どもたちが楽しく過ごせる遊び場を備えた託児施設などを物流施設に設置してきました。人手不足が深刻化して、物流施設の環境整備がさらに重要な意味を持つようになった中、今後はどのように取り組んでいきますか。
「おっしゃる通り、従業員の皆さんが働きやすい環境にすることに当社は非常にフォーカスしており、マーケットの中でも非常にリードしていると思います。女性が就労できる環境は非常に大事だと思い、これまで託児施設は大変力を入れて整備してきました。良好な雰囲気のラウンジで打ち合わせができるようなコミュニティースペースも作りました。ユニークな取り組みとしてボルダリングができるスペースも整備しました。働く方々がハッピーであれば、テナント企業の方々もハッピーになり、結果としてわれわれもハッピーになる。そのように信じています。これからはさらに踏み込んで、働く方々が求める設備やサービスを物流施設に取り入れていきます」

――中長期的な目標を聞かせてください。
「現在ビジネスを展開している日本を含めたアジア太平洋6カ国のマーケットで、コンストラクションスタート、つまり1年間に着工した物流施設の件数でナンバーワンになりたいですね。日本ではここ5~6年、着工数という観点で見ればナンバーワンのデベロッパーだと自負しています。また、現在は開発の中心がドライ倉庫ですが、冷凍・冷蔵倉庫に関しても取り組んでいきたい。データセンターも需要がさらに増えていくと思いますので、物流施設に加えてプロジェクトを展開していきたいですね」


ヒューマンセントリックデザインの一環として「ESR尼崎DC」に導入した託児所の保育室(上)やラウンジ

(藤原秀行)

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