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JA-LPA推進協議会が物流不動産の動向に関するセミナー開催

JA-LPA推進協議会が物流不動産の動向に関するセミナー開催

物流業務の自動化やデジタル化への対応不可欠と指摘

物流不動産に特化した評価・診断業務などを展開している日本物流不動産評価機構(JA-LPA)推進協議会は11月24日、東京都内で「ポストコロナの時代、拡大する物流不動産のニューノーマル」をテーマとしたセミナーを開催した。

登壇した関係者は賃貸物流施設市場の動向と展望を解説。新型コロナウイルスの感染拡大下でもeコマースの利用急増で先進的な物流施設を求める動きが続いていると指摘し、業務の自動化やデジタル化に対応していくことが不可欠との声が聞かれた。当日は会場とオンラインで計約400人以上が参加した。

既存物流施設の有効活用方策を調査・検討へ

セミナーでは冒頭、国土交通省の阿部竜矢物流政策課長が登場。国交省が軸となり進めている物流領域の生産性向上などの変革支援策を説明した。この中で、「物流施設を核とした環境負荷低減の促進」を進めていることに言及、その一例として、東京都大田区平和島の「東京団地冷蔵再整備事業」に伴う輸送網集約事業を、物流総合効率化法による総合効率化計画として認定、トラック予約受付システムで荷待ち時間を4割減らしたことなどを報告した。

また、2021年度予算案の概算要求で、物流施設の需要増が見込まれることを踏まえ、既存の物流施設の有効活用方策に関する調査・検討事業を計上していると指摘。サプライチェーンの合理化・強靭化などの施策を進める上で不可欠な物流施設の基盤強化に引き続き政府としても注力していく構えをアピールした。

“物を運べないリスク”への懸念高まると予想

続いて、日本政策投資銀行で物流業界の成長支援策を検討するグローバルロジスティクス室長などを歴任し、現在は四国支店で企画調査課長を務める須釜洋介氏が登場。同支店で実施した「人口減少下における四国の物流の現状と課題~人口減少下およびウィズ・アフターコロナにおけるレジリエントでサステナブルな物流の構築に向けて~」と題する調査結果を取り上げた。

同調査は四国地域のトラックドライバー不足が深刻な状況にあり、その背景には労働条件の厳しさや荷主企業とトラック運送事業者の連携不足による労働生産性の低下などが見られると分析。新型コロナウイルスの感染拡大の影響下でも物流を持続させていくために、業種の枠を超えた共同物流の推進、全国に先駆けた自動運転やドローン(無人飛行機)などの実用化と規制緩和を講じるよう提案している。

須釜課長は同調査も踏まえ、新型コロナウイルスの感染拡大の影響として「ドライバー不足が続いており、今後はより需給が逼迫、“物を運べないリスク”への懸念が高まっていく」と予想。物流施設も含めた全領域で自動化・省力化を強力に進め、物流DX(デジタルトランスフォーメーション)を実現していく必要性を重ねて強調した。

“見せる化”で「物流業界の応援団」に

その後には、日本GLPの帖佐義之社長が、賃貸物流施設市場の最前線について語った。コロナ禍でも物流施設への需要は伸びていると指摘する一方、同社が手掛けるような先進的物流施設は国内の物流施設全体の5・4%にすぎず、国民1人当たりの倉庫面積も米国の6分の1にとどまっているとのデータを引用。同社でも1~9月で昨年1年分に相当する約100万平方メートルのリーシング契約を結ぶなど、好調なことをアピールした。

最近力を入れている超大型物流施設開発「ALFALINK(アルファリンク)」のコンセプトをあらためて紹介。その一環で、物流の持つ社会的意義の大きさを理解してもらうため、施設内の優れたオペレーションを公開する“見せる化”を重視していると述べるとともに「物流業界の課題解決に向け、さまざまな人を巻き込み、業界の応援団として施設づくりにまい進していきたい」との決意を重ねて示した。

コロナ禍でも物流施設の不動産価格調整は限定的

最後に、三菱UFJ銀行から企業審査部不動産審査室の加藤雄一調査役が参加。「金融機関から見た物流不動産」と題して講演した。加藤氏は、金融機関は賃貸借契約が固定賃料で期間も長期のため、安定したキャッシュフローが見込める上、入居するテナント数がオフィスビルや商業施設などより少なく、賃料の支払い能力など信用力把握が容易な点がメリットである一方、エリアやスペックごとのテナントニーズ把握が困難でテナント退去時に次のテナントを見つけるのに必要な期間が見込みにくいことなどが難しさとしてあると指摘。開発案件を融資対象として見る場合の主なチェックポイントを解説した。

コロナ禍が市場に及ぼす影響としては、ホテルや商業施設はテナントから賃料の減額要請が出ている半面、物流施設への投資家の投資意欲は継続しており「不動産の価格調整は限定的」と分析、不動産セクターの中でも物流施設が有望との見方をにじませた。

(藤原秀行)

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