JLLフォーラムで国内外パネリストが指摘、物流施設の勢い持続
JLL(ジョーンズ ラング ラサール)はこのほど、「不動産&ホテル投資フォーラム」を東京都内で開催した。
パネリストとして登壇した国内外の不動産投資業界関係者からは、日本の不動産への投資は有望との見方が相次ぎ示された。
フォーラムではJLLの赤城威志リサーチ事業部長が、日本の不動産市場の動向と世界主要国・地域の不動産市場を対象とした「透明度調査」の結果に言及。日本はeコマースの成長を受け、「物流施設への投資の勢いはまだまだ続いている」と指摘した。
同時に、東京の市場における海外投資家の割合は3割強で世界の主要都市に比べるとまだ低いと解説。海外からの投資を呼び込むには取引情報の適時開示など透明度をさらに改善していく努力が必要との認識をあらためて示した。
その後のパネルディスカッションでは、投資家を代表してフープパートナーズの平山敏幸社長がeコマース拡大に伴う実店舗の在り方について触れ、「宣伝広告や商品体験、店員と消費者のコミュニケーションという役割は実店舗に残ると思う。この3つのポイントを意識して機能を変えていく店舗やショッピングセンターはeコマースの利用が増えても生き残る」と分析した。
リニューアブル・ジャパンの眞邉勝仁社長は、再生可能エネルギー関連設備への投資が依然投資家から注目を集めている実情を紹介。
ロードスターキャピタルの岩野達志社長は、自社の取り組みを紹介する中で、不動産投資の分野でもインターネット経由で小口投資を集める「クラウドファンディング」の手法が有効と強調した。
中国からの海外不動産投資が大幅減、日本に注目集まる
一方、別のパネルディスカッションには、JLLグループから投資の最前線に携わるメンバーが出席し、日々業務を展開する中での市場情勢について感触を語った。
JLLホテルズ&ホスピタリティグループでヘッド・オブ・インベストメントセールスアジアのマネージングディレクターを務めるニハット・エーカン氏は「不動産投資は国債利回りとのスプレッドが取れるので日本への投資タイミングとしては悪くない」と強調。
JLL中国のインターナショナル・キャピタルグループでリージョナルディレクターのダレン・シャー氏は、中国政府の規制強化の影響で同国から海外不動産へのアウトバンド投資が大幅に減っていることを説明。「日本は投資資金の調達コストが低いのが魅力」と語り、日本市場に注目が集まっているとの印象を明らかにした。
(藤原秀行)
300人超が集まったフォーラムでのパネルディスカッション。右から眞邉、岩野、平山の各氏