国交、厚労両省と全ト協がガイドライン策定
国土交通、厚生労働の両省と全日本トラック協会は11月6日、トラックドライバーの長時間労働を是正するためのガイドライン(指針)を取りまとめた。運送事業者と荷主企業が連携して取り組みを進められるよう、物流センターへのトラック入庫の予約受付システム活用といった業務効率化の具体例を数多く盛り込んだのが特徴。
両省は2016~17年度の2年間、各都道府県で運送事業者と荷主企業が共同で業務効率化や労働時間短縮を進めるパイロット事業を実施した。その成果や課題をガイドラインに反映させている。
今後は事業者向けシンポジウムなどの場を通じてガイドラインを関係者に周知していく構えだ。
ガイドラインは、改善に向けて取るべきステップとして、
①荷主と運送事業者の双方でドライバーの労働条件改善を検討する場を設置
②労働時間(特に荷待ちや荷役)の実態を把握
③荷待ち時間発生など長時間労働の原因を検討、把握
④荷主と運送事業者の双方で業務内容を見直し、改善に着手
⑤荷主と運送事業者の間で応分の費用負担を検討
⑥改善の成果測定のための指標を設定
⑦指標の達成状況を確認、評価し、さらなる改善を推進
――を明示。その上で、各都道府県で成果を挙げたケーススタディーをそろえている。
ガイドラインは「荷主にとっては何気ないことが、ドライバーの労働時間に大きな影響を与えている場合がある。これはつまり、ほんの少しの作業改善であってもドライバーの労働時間を大きく改善できる可能性があるということでもある」と指摘。荷主側の積極的な取り組みに期待感を示している。
自動仕分け機や高速道路有効活用、入荷量平準化など多岐に
一例を挙げれば、山梨県では発・着荷主と運送事業者の三者が協議し、関係者が同一のパレットを共同利用する「パレットプールシステム」を採用したり、物流センターで予約受付システムを取り入れたりした結果、センターでの待ち時間短縮に成功した。
他にも、
▼青果物の輸送に関し、ストックポイントで商品を集約する流れに変更した結果、トラック1台当たり平均約1時間ドライバーの拘束時間短縮と、全体で約7%のコスト削減が見込まれた(山形県)
▼自動仕分け機を導入して検品作業を削減し、トラックへの積み込み時間を約30分短縮した(島根県)
▼高速道路を有効利用し、コース別で運転時間を最大約1時間減らすことができた(岐阜県)
▼着荷主側の処理能力を考慮して発荷主側の出荷台数を抑制、入荷量を平準化することでトラックの待機時間を延べ9時間カットできた(東京都)
――などの成果が挙げられている。
ガイドラインは両省や全ト協のホームページでダウンロードできる。
(藤原秀行)
ガイドラインの表紙