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【独自取材】ドローンで撮影の画像漏洩や機体乗っ取り防止へセキュリティー対応強化

【独自取材】ドローンで撮影の画像漏洩や機体乗っ取り防止へセキュリティー対応強化

JUIDA・鈴木理事長新年インタビュー(中編)

ドローン(無人飛行機)の産業利用促進に取り組む日本UAS産業振興協議会(JUIDA)の鈴木真二理事長(東京大名誉教授、東京大未来ビジョン研究センター特任教授)はこのほど、新年を迎えるに当たってロジビズ・オンラインの単独インタビューに応じた。

鈴木理事長は、ドローンで撮影した画像が外部に漏洩したり、飛行中に乗っ取られたりするなど、飛行の安全性が損なわれないようセキュリティー面で引き続き取り組みを強化する必要があると指摘。ドローンの安全運航などを担える人材を養成するJUIDA認定スクールで、セキュリティーの重要性を講習に取り入れていくなどの対応を検討していると明らかにした。

また、ドローン物流の実現に向け、まず台風や大雨などの発生時に緊急物資を被災地に届けることで社会に必要性を認知してもらい、機運を高めることを提案。災害時のドローン物流実現に意欲を見せた。インタビューの第2回を掲載する。


鈴木理事長(2019年撮影)

操縦免許制度確立へ国や有識者と連携

――2020年の年初に、今年は「ドローンセキュリティー元年」にしたいとの目標を述べられていました。ドローンのセキュリティーについてはどのように感じますか。
「これは非常に大きな動きがありました。各省庁が調達するドローンに関し、セキュリティーの甘いものは使わないよう対策を強化すると伝えられました。国内でもセキュリティーの重要性が認識されてきたと思います。ドローンのセキュリティーと言うのは簡単ですが、では実際にどのようにセキュリティーを担保し、どのようにセキュリティー上の問題がないと証明するのかが課題です。NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)でも安全・安心なドローン基盤技術の開発に関する研究プロジェクトがスタートしていますので、次第に技術が確立されてくると期待しています」

――ドローンのセキュリティー維持・強化はこれからも産業界で利用が広がる上で常に考えなければいけない重要な課題です。JUIDAとしてはどう取り組んでいきますか。
「JUIDAが認定しているスクールで、ドローンを安全に運航管理する上で必要な知識を有していると証明する『安全運航管理者証明』という資格を扱っており、その講習の中にセキュリティーの話も広く取り入れていこうと考えています。セキュリティーはいろいろな考え方があり、まずはドローンの飛行記録や上空から撮影した画像などのデータをきちんと管理し、外部への漏洩を阻止しなければいけないという話、そしてもう1つはドローンが飛行している際にハッキングされて乗っ取られたり、飛行を妨害されたりする事態を防がなければならないという話です。そのあたりのことをちゃんと皆さんに認識していただき、どのような対応を取っていくべきかを伝えていくことが必要だと思います」

――人が多く存在している市街地上空をドローンが操縦者の目が届かない長距離にわたって飛行する「レベル4」の実現に向けた制度整備の中で、政府は操縦者の技能を担保するため、新たに免許制度を創設する方向です。レベル4の飛行が可能な「一等資格」と操縦者の目が届く近距離に限定して市街地上空でドローンを飛ばせる「二等資格」の2種類とすることを検討しています。JUIDAとして免許制度にはどういったことが必要と捉えていますか。
「JUIDAはISO(国際標準化機構)で進められているドローンのトレーニング内容の標準化活動にも積極的に参加するなど、世界のさまざまな教育機関とも連携しており、そうした情報や経験がお役に立てるのではないかと自負しています。JUIDA認定スクールのカリキュラム内容も踏まえ、まずは操縦技能に高いレベルが求められるレベル4に関し、どんな試験内容にすればいいのか、といったところを21年は国や他の団体、有識者の方々と一緒にじっくり詰めていくことになると思います。国は(複数の回転翼を使う)マルチコプター、固定翼といったドローンのタイプ別に免許を定めることも考えているようです。JUIDA認定スクールのカリキュラムはマルチコプターが基本なので、そのあたり、どのように対応していくかも考えていく必要があるでしょう」

大雪で立ち往生の車に食事など配送も

――ドローン物流に関しては、日本各地で実証実験が行われるなど、この1年で実現への取り組みが相当広がっているように思えます。政府のロードマップ(工程表)は22年度の「レベル4」実現と都市部でのドローン物流サービス開始を想定しています。現状ではこうした目標通りに進みそうでしょうか。
「今年7月に官民協議会が新たなロードマップを取りまとめた際、物流に関してはまず現場でより使えるようなガイドラインを整備し、徐々に制度化していく方向性が出ています。米国ではアマゾンやUPS、グーグルなどがドローンによる物流事業の免許を取得しています。日本でも早くそうした制度を構築すべきだと思います」
「ただ、国としてはまず実際にドローンを物流に使いたいと名乗りを上げる人が出てくるかどうかをしっかり確認した上でガイドラインを整備し、浸透させていきたいとの方針のようです。JUIDAは以前、いわゆる『レベル3』(山間地や離島など人口が少ないエリアでの目視外飛行)を行う際のガイドラインをまとめていますが、ドローン物流を行いたいと考えている事業者の方々に役立てていただけるよう、レベル4に向けて新たなガイドラインを作成しようと計画しています」

――ドローン物流に関しては、離島や中山間地に物を届ける実証実験が広く行われています。最初はやはり、民間事業者のサービスというよりは、地方自治体が住民サービスの一環として始めていく可能性が高そうでしょうか。
「山間部で買い物に困っておられる高齢者の方々にドローンで商品を届けるのは、実証実験の段階では皆さんいいですね、と言ってくださるのですが、では実際に誰がこのサービスを提供するのかという話になったとたんに、事業としていかに収益を挙げるかが難しく、なかなか先に進めなくなる、という側面があります。まずは本当に困っているところからドローン物流をやっていく形になるのではないでしょうか」
「そういう意味では、かねて言われている通り、災害時の物流は日本にとって非常に重要な問題ですし、大きなニーズがあるでしょう。先日も大雪の影響で、高速道路で車が多数、長時間立ち往生してしまいましたが、そうした時にドライバーへ食事など必要な物資をドローンで運べるのではないかと思いました。緊急に物を届けなければいけない時に対応することで、社会にドローンの必要性を認識してもらうところから始めるのがいいのではないかと思いもありますね」

――災害利用からドローン物流の機運を高めていくということですね。
「残念ながら、ドローン物流を事業とだけ考えた場合、採算が取れるようになるまで時間を要すると思います。物流だけではなく、自然災害など緊急時にも対応できるというところまで含めることで、公的な支援も得られれば割と容易にドローン物流を始めていけるかもしれません。地方自治体の方々とも一緒に制度設計をしていかなければいけないでしょう。大都市はサービスを受ける人がたくさんいらっしゃいますから、新しいことでも割とスムーズに受け入れていただきやすいですが、地方に行くとどうしてもサービスを受ける方が少なく、投資を回収するのが難しくなってしまいます。しかし、ドローンが本来必要とされているのはまず地方なので、そこには物流以外にもさまざまなドローンの用途が期待できると感じています」
「海外でも、例えば英国で(時期や場所を特定して新たな技術を導入する)サンドボックス制度を利用して、離島に新型コロナウイルスの検査キットをドローンで空輸する試みを始めています。ドローン物流に関してはいろんな評価を得ながら、さまざまなところで使われ出して行くという形を取るのではないでしょうか」


関越自動車で起きた大雪による車の立ち往生の様子。ドローンが活躍できる場面がありそうだ(国土交通省報道発表資料より引用・クリックで拡大)

(藤原秀行)

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