コロナ禍で打撃、経営立て直し急ぐ
外食大手のロイヤルホールディングス(HD)は2月15日、双日と資本・業務提携すると発表した。
新型コロナウイルスの感染拡大で外出が制限され、ファミリーレストラン「ロイヤルホスト」や天丼のチェーン「てんや」といった外食事業やホテル事業、機内食事業などが深刻な打撃を受けているため、双日の力を借りて早急に経営を立て直したい考え。
購買などのデジタルデータ活用による集客強化と顧客満足度向上、食材や副資材の調達効率化、物流改革などの面で総合商社のノウハウを最大限生かすことを目指す。新規事業開発や海外展開、M&Aにも両社が共同で取り組む。
ロイヤルHDが双日向けに3月末を払い込み期日とする第三者割当増資を行い、約100億円を調達。併せて、行使可能期間が6年強の新株予約権78億円分も交付する。双日はロイヤルHD株式の1割強を握る筆頭株主となる見通し。
ロイヤルHDは同時に、みずほ銀行、日本政策投資銀行、福岡銀行、西日本シティ銀行の4行を割当先とする優先株約60億円を発行し、金融支援を受ける。資本準備金と利益準備金も取り崩して繰越利益剰余金の欠損を補填、財務基盤の強化を急ぐ。
他にも、ロイヤルHDグループで機内食事業を手掛けるロイヤルインフライトケイタリング(RIC、大阪府泉南市)に双日が出資。双日が6割、ロイヤルHDが4割の出資比率とし、同事業のてこ入れを目指す。RICは4月1日付で社名を「双日ロイヤルインフライトケイタリング」に変更する。
ロイヤルHDと双日が2月15日開いたオンライン記者会見で、ロイヤルHDの菊池唯夫会長は「コロナ禍の影響が去っても外食産業が100%元の状態に戻るとは思えない。海外展開のスピードアップやSCM改革などに取り組んでいく」と強調。
双日の藤本昌義社長は「非資源分野に軸足を映している当社にとって、BtoC関連事業のロイヤルHDとの提携は願ってもないこと。海外展開などさまざまな分野でシナジー効果を見込んでいる」と語った。
(藤原秀行)