政府が航空法などの改正案を閣議決定、テロ阻止で搭乗前の検査義務化も
政府は3月9日の閣議で、航空法と民活空港法の改正案を決定した。
この中で、新型コロナウイルスの感染拡大で旅客需要が世界中で激減、苦境に陥っている航空業界の支援を強化し、航空輸送網を維持できるようにする制度を創設することを打ち出した。併せて、航空機や空港を標的にしたテロを防ぐため、保安検査をより確実に行えるようにすることも盛り込んだ。今国会での成立を目指す。
政府は新制度も活用し、国内線の運航便数を2021年度末にコロナ前の水準まで回復させたい考えだ。
空港利用料減免など推進
改正案は、国土交通大臣が世界的規模の感染症流行などで航空運送事業者に甚大な影響が発生し、航空ネットワークの確保に支障を来す恐れがあると認められる場合、「航空運送事業基盤強化方針」を策定し、空港使用料の減免などを講じていくことを想定。
同時に、航空会社に対しては同方針に基づいて業務効率化などの「航空運送事業基盤強化計画」をまとめ、実施状況を国へ定期的に報告することを義務化、航空会社にも自発的な取り組みを促すことを念頭に置いている。さらに、運営権を民間に譲渡した「コンセッション空港」の運営会社が手掛ける空港整備事業へ国が無利子貸し付けを行えるようにする。
テロ対策では、空港で保安検査後の搭乗待ち合いエリア(クリーンエリア)へ立ち入る旅客らへの保安検査や預け入れ手荷物の検査を義務化し、保安職員が遂行のために指示を出す権限を明文化。これまでは検査の法的な位置付けが明確になっていなかったが、確実に実施されるよう担保する。
加えて、国土交通大臣が航空機へのテロなど危害行為防止のための基本方針を取りまとめ、航空会社や空港運営会社などの役割を明確に示し、連携を強化することも定める。
(藤原秀行)