「空飛ぶ車」、2020年代前半に事業スタートと想定

「空飛ぶ車」、2020年代前半に事業スタートと想定

官民協議会が実用化へ工程表の素案提示

 国土交通、経済産業の両省などは11月16日、東京都内で「空の移動革命に向けた官民協議会」の第3回会合を開き、「空飛ぶ車」の実用化に向けた技術開発や各種ルール整備などのロードマップ(工程表)の素案について議論した。

 素案は、2019年から試験飛行や実証実験、安全性確保のための制度整備などを順次推進するとのシナリオを提示。20年代前半に事業をスタートし、物の輸送から地方での人の移動、エンターテインメント、都市での人の移動と、30年代にかけて実用化の範囲を広げていくことを想定している。

 運行管理システムの開発、離着陸場所・空域の設定、機体の航続距離や騒音低減といった項目にも取り組むことを打ち出した。


「空飛ぶ車」実用化の工程表素案について議論した会合

 協議会は12月の会合で工程表を取りまとめ、実用化に向けた関係者間の役割分担や意見調整などを加速させたい考え。

 空飛ぶ車は明確な定義がまだ存在していないが、一般的に電動または自動で垂直に離着陸する機能がイメージされている。渋滞を解消し、人の移動や物資輸送を効率的に行ったり、災害時の救助・援助物資輸送や観光に活用したりできると期待されている一方で、騒音や安全性といった点で懸念が残る。

 海外ではウーバーのほか、欧州の飛行機大手エアバスなどが実用化に向けた実証実験を促進、研究も先行している。

 会合では出席者から、実用化に不可欠な通信技術に関する項目も盛り込むよう求める声や、大前提としてそもそもなぜ「空の移動革命」が必要なのか明確に説明、社会の理解を幅広く得る必要があると指摘する声などが出された。

 救急や災害の利用については、安全性がしっかりと担保された段階で利用すべきだとの考えが示された。

 併せて、協議会に参加しているメンバーらが非公式に協議し、工程表の基礎となる案をまとめた結果、多くの参加者が23年ごろからまず少数の台数で空飛ぶ車の事業化を始めるとの認識を明らかにしたことが報告された。

(藤原秀行)


会合場所のスクリーンに映された工程表の素案※クリックで拡大

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