政府が「食品流通合理化検討会」の初会合を開催

政府が「食品流通合理化検討会」の初会合を開催

地方産品を首都圏などに配送、業界横断で支援策検討へ

政府は11月11日、東京都内で「食品流通合理化検討会」の第1回会合を開いた。物流の基礎を担うトラックドライバー不足といった厳しい現状を踏まえ、農産物などの食品を将来にわたって日本各地に鮮度を維持して輸送できるよう、産地や輸送事業者ら関係者が連携し、輸送効率化をはじめサプライチェーン全体の合理化を図るのが狙い。

出席した地方自治体の首長らは、自らの特産品を首都圏などに迅速かつ確実に届けるための独自の取り組みを紹介。地域活性化のためにもロジスティクスの改革が不可欠との認識をそろって示した。今後も定期的に会合を開き、業界横断的な施策を検討、実行していく。

「ロジスティクス変革が地方の稼ぎを生む」

検討会は農林水産、国土交通、経済産業の3省が開催。産地と物流業界、着荷主の各立場から、企業や業界団体の幹部、地方自治体のトップら参加している。

初会合では、青森県の三村申吾知事がヤマト運輸とタッグを組んで進めている総合流通プラットフォーム「A!Premium」の歩みを報告。本州最北端という地理的に不利な条件を克服するため、航空貨物輸送やクール便を組み合わせ、海外にも売り込むなどしている実例を紹介した。また、東京や神戸にアンテナショップを開設するなど、販路開拓も着実に行っていると強調。「ロジスティクスを変革することが稼ぎを生む」と述べ、物流の効率化が肝要と訴えた。

新潟県の花角英世知事は、ブランド米は紙袋が主流となっており、出荷時は全て手積みのため重くて運ぶのに手間が掛かるといった課題があると解説。「集荷段階からのパレット一貫化に向けた施設や設備の整備が必要」と指摘した。

青果物は小規模産地が広い県内に散在しているため輸送が非効率になっており、地域内の消費のみで県外に出荷できていないと指摘。各産地からの効果的な集荷体制構築が重要との見解を示し、少量多品目の生産物を集約・発送する地域拠点として直売所を活用できるとの見方を示した。

三重県の鈴木英敬知事は、県内の産地と首都圏のホテルを結び付け、食材を定期的に各ホテルへ配送するシステムの実証実験を行っていることに言及。配送コスト削減や受発注の手間抑制といった成果が得られると語った。さらに、生産者と流通事業者、スーパーなどの実需者が一体となった「農業生産データ利活用プラットフォーム」を構築、食材情報をリアルタイムで実需者に届け、受発注の円滑化や計画的な生産の実現などを図る構想を紹介。「簡便で誰でも取り組める仕組みを構築することが大切」と力説した。

このほか、仙北市、鮭川村、小浜市、八幡浜市の首長もプレゼンテーションし、高鮮度冷凍設備を活用して高付加価値の商品販売に取り組んでいる実態などを話した。


関係者が集結した第1回会合

(藤原秀行)

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