最高裁、一部医薬品のネット販売規制は合憲と判断

最高裁、一部医薬品のネット販売規制は合憲と判断

楽天敗訴確定

最高裁判所第1小法廷(小池裕裁判長)は3月18日、医療用から市販用に切り替わった医薬品のインターネット販売を一定期間禁止している国の規制は憲法違反に当たるとして、楽天がネット販売は可能との地位確認を求めた訴訟の上告審判決で、規制は合憲とした1、2審の判決を支持、楽天の上告を棄却した。裁判官5人全員一致の意見で、楽天の敗訴が確定した。

2014年に施行された改正薬事法(現医薬品医療機器法)は、処方箋が不要な「一般用医薬品(大衆薬)」のネット販売を解禁する半面、処方薬から転用された「要指導医薬品」には原則として3年以内は安全性の評価期間と設定し薬剤師の対面販売を義務付けており、ネット販売を認めていない。

憲法第22条第1項は「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する」と定めており、自分が選択した職業を遂行する「営業の自由」も保障していると考えられている。楽天は訴訟で要指導医薬品のネット販売規制が同項目の営業の自由に反していると主張してきた。

一方、第1小法廷は上告審判決で、要指導医薬品の規制について「不適正な使用による国民の生命、健康に対する侵害を防止し,もって保健衛生上の危害の発生及び拡大の防止を図ることを目的とするものであり,このような目的が公共の福祉に合致することは明らか」と指摘。電話やメールで薬剤師が購入者へ指導するのは対面に比べて確実に理解を得る点で劣るとの評価は不合理とは言えないとの見解を示した。

さらに、処方箋なしに買える医薬品の中で要指導医薬品が占めている割合は1%に満たず、一定期間が経過して問題がなければ大衆薬になることや、ネット販売規制の期間が限定されていることも考慮。「職業選択の自由そのものに制限を加えるものであるとはいえず,職業活動の内容及び態様に対する規制にとどまるものであることはもとより,その制限の程度が大きいということもできない」と説明、違憲には当たらないと結論付けた。

(藤原秀行)

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