【独自取材】オリックス不動産、21年度は8カ所で物流施設開発に順次着手へ

【独自取材】オリックス不動産、21年度は8カ所で物流施設開発に順次着手へ

神奈川・愛川町で大型案件、ESG投資重視し太陽光発電も積極的に準備

オリックスグループで物流施設事業を手掛けるオリックス不動産は、2021年度に3大都市圏の計8カ所で順次開発に着手する計画だ。これまでにも年間で3~5件程度の開発を目指してきたが、優良な用地の取得が進んだことから、開発のペースが早くなる見込み。

同社は今後もeコマースの成長などで先進的な機能を持つ物流施設のニーズが見込めるとみており、積極的にプロジェクトを展開。これまでは中小規模の案件が多かったが、大規模施設のニーズが強いことを考慮し、神奈川県愛川町では同社としては過去最大級となる地上6階建て、延べ床面積約18万平方メートルの案件を手掛ける予定。立地に優れた用地は相対での取引だけでなく、入札にも参加していくことを念頭に置いている。

オリックス不動産の久保田勲投資開発事業本部副本部長は、新型コロナウイルスの感染拡大で経済情勢の先行きが不透明な中、企業が収益を確保するため、工場などの保有資産売却を加速させている可能性があると指摘。同じオリックスグループに属しているマンション大手の大京とも連携し、3大都市圏を中心に優良な開発用地の情報を迅速に把握、取得を目指す姿勢を見せている。また、オリックスグループが全国に配置している約1600の営業拠点も生かして用地情報を収集していく構えだ。

車両リースを活用したコスト低減提案も

物流施設開発への新規参入が今も相次ぎ、事業間の競争が激しい状況を受け、オリックス不動産は同じくオリックスグループが展開しているヘルスケアや金融、産業用ロボットレンタルといったさまざまな事業と連携、施設ごとに働きやすい環境整備を後押しする付加価値提供を実現、差別化を図る方針だ。

久保田氏は一例として、19年3月に埼玉県松伏町で完成した「松伏ロジスティクスセンター」を挙げ、無料で使えるフィットネス設備を整備するなど、「働きながら健康を促進する」とのコンセプトを打ち出したことを紹介。従業員の間で好評を博しており、同センターの事例を参考にしながら、オリックスで注力しているヘルスケア領域の担当と協議、今後も必要に応じて物流施設で独自の健康促進策を検討していく見通しだ。

また、ESG(環境、社会、企業統治)領域への投資が注目されている現状に基づき、オリックス本体で太陽光発電を担っている環境エネルギー本部とタッグを組んで、今後開発を始める物流施設の屋根に順次太陽光発電パネルを配置していくことを検討。テナント企業にはオリックス・レンテックの産業用ロボットレンタルサービス「RoboRen(ロボレン)」を紹介して現場の自動化・省人化を後押しすることも目指している。

久保田氏は「単純な不動産賃貸業ではなく、物流業界に対して当社を含めたオリックスグループ全体として貢献していくことが必要」と指摘。オリックス自動車からテナント企業に車両リースを活用したコスト低減策などを提案することも想定している。


松伏ロジスティクスセンターの外観(オリックス不動産提供)


導入したフィットネス設備

(藤原秀行)

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