KICアセット・マネジメント・峯田会長、中・小型の物流施設開発継続に強い意欲
物流不動産を対象とする投資ファンドの組成・運営などを手掛けるKICアセット・マネジメントの峯田勝之会長は4月26日、埼玉県日高市で開催した新たな物流施設「KIC狭山日高ディストリビューションセンター」の地鎮祭の後、ロジビズ・オンラインなど一部メディアの取材に応じた。
峯田会長は今後の物流施設開発について、リソースを首都圏に集中し、国道16号沿いなど都心寄りのエリアを軸にする方針を堅持する姿勢をあらためて表明。併せて、首都圏2カ所で予定している10万平方メートル超のランプウェー付き大型プロジェクトも3年後をめどに着工する予定で準備を進めていることを明らかにした。
同時に、新型コロナウイルスの感染拡大でテレワークが増加し、居住エリアが都心から周辺部に分散する動きが出ていると指摘。「人が分散すれば倉庫のニーズは増える」とみて、立地をより厳選して中・小型の物流施設を継続して展開することに強い意欲を見せた。
取材に応じる峯田会長
「KIC狭山日高ディストリビューションセンター」の完成イメージ(KICアセット・マネジメント提供)
開発地
「5G時代」で生活の合理化さらに進展、ライフスタイル変化への対応が重要に
峯田会長は、新施設に着工した埼玉県日高市について「このエリアでニーズはまだたくさんある」と評価。「当社は圏央道の外側はスコープに入れていない。国道16号になるべく近い所、幹線道路に近い所、住宅地が近く人手の確保ができる場所を中心に開発していきたい」と狙いを明言した。
同時に「われわれが注力してきた5000~1万坪の中規模物件も競合が増えてきた。一層のスピード感を持って取り組んでいきたい」と語り、首都圏に事業対象を絞り込むことで好立地を確実に押さえ、物流施設に競争力を持たせていきたいとの姿勢を示した。
今後の開発市場については「(携帯電話の通信規格が)3Gから4Gへ移行した時、スマートフォンによってECと宅配の在り方が大きく変わった。2020年以降は5Gの時代に入り、もっと(人々の生活の)いろんなところで合理化が進んでいく。ライフスタイルの変化に物流倉庫がいかにつながっていくかというところに(事業の成否が)懸かっていると思う」と分析。ECの利用増などの動向を十分見極めた物流施設開発が重要と指摘した。
また、「コロナによるテレワークの増加で、そこまで都心(に近いエリア)に住まなくてもいいという動きが出てきた。人が分散すれば倉庫のニーズは増える。例えば米国のロサンゼルスは東京と人口はあまり変わらないが、倉庫の床面積は東京の6倍だ」と解説。
「そういったニーズと物流を今後どう結び付けていくかということだと思う。その視点からも、倉庫の場所と建物の競争力は重要だ」と述べ、KICアセット・マネジメントがメーンに据えている中小規模の物流施設を、消費地の近くなど首都圏の各地に構えていくことの意義を力説した。
(川本真希、藤原秀行)