ピースピッキングの90%を自動化へ
医薬品卸大手の東邦ホールディングス(HD)は11月21日、広島市内で自動化技術を駆使した高機能物流センター「TBC広島」が同5日から稼働を開始したと発表した。
施設規模はRCSS造、地上4階建て、延べ床面積3万1700平方メートル。医療用医薬品、医療機器、医療材料、検査薬など約2万5000品目を取り扱い、最大出荷能力は月当たり約250億円に上る。
広島・岡山・鳥取・島根・山口・香川・愛媛・高知・福岡(一部)の中・四国地区をカバーする物流拠点として総額約150億円を投じて新設。「TBC埼玉」(埼玉県久喜市)で培った自動化技術を進化させて、入荷から出荷までに至る作業の無人化を実現する。
具体的にはパレット単位の入荷、元梱単位によるトラックからの入荷処理を自動化したほか、深夜の荷受けにも対応することでトラック運送事業者のドライバー不足や待機時間改善に貢献。ロボットによるピッキング、箱入れでは対象アイテムをTBC埼玉の約2500品目から約7000品目に引き上げてピースピッキングの90%を自動化させる。
また得意先の物量に合せた3種類のオリコンを自動選択し、商品の投入・ひも締め・封緘テープの貼付までを全自動で行い人手による作業を限界まで削減。さらに出荷する元梱やオリコンをカーゴ台車に自動で積み付けて出荷エリアの省人化を図る。
出荷精度の向上ではバーコード、重量、画像によるチェック機能を強化するとともに、作業レコーダーで検品、仕分けを全て記録。既存センターで達成している出荷精度99.99999%を上回るパフォーマンスを目指す。さらにカーゴ台車とトラックをバーコードでひも付けて積み込みミスを防ぐ。
品質管理では国際的な適正流通基準であるPIC/S、GDPに準拠した物流体制の確立に向け、入荷口にドックシェルターを完備して外気の影響抑制と異物混入を防止。温度モニタリングシステムの導入により施設内36カ所の温度を継続的に測定する。加えてGDP対応の専用車両を開発し、輸送時の適正な温度管理とモニタリングを実施。捕虫器や鳥よけスパイク、超音波による防鼠装置なども備える。
得意先別出荷、医療機関に直接納入する「センター直送便」、納品時の検品を省く「NO検品システム」の提供・拡充で配送面も効率化。108時間稼働できる自家発電設備、災害対応用バイク、ホストコンピューターの二重化によってBCP(事業継続計画)とセキュリティーでも万全な対策を施した。今後は広島から順次エリアを拡大し、2019年1月4日から対象全域に供給していく。
(鳥羽俊一)
※画像は東邦ホールディングスニュースリリースより