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【独自取材】3年目のホワイト物流・データで読み解く成果と課題(前編)

【独自取材】3年目のホワイト物流・データで読み解く成果と課題(前編)

賛同宣言は1200突破も、卸売・小売業の低調変わらず

トラックドライバーの長時間労働などを是正するため、政府が荷主企業や物流事業者とともに展開している「ホワイト物流」推進運動が本格的にスタートしてから今春で3年目に突入した。今年4月末時点で同運動に賛同した企業や団体などはトータルで1213に上り、一定の広がりを見せている。

ただ、新型コロナウイルスの感染拡大下で経済環境は厳しく、同運動が思惑通り推進していくかどうかは予断を許さない。企業や団体などの新規参加数もペースが鈍化しており、同運動が一層浸透していく上で正念場を迎えている。

ロジビズ・オンラインは前後編の2回に分けて、同宣言などのデータを基に、同運動の成果と課題の分析結果を紹介する。

全47都道府県に拡大

政府が同運動への協力を求めて、文書で経営トップらに直接要請した相手先は上場企業約4000社と、全国47都道府県ごとに売上高上位50社ほどをチョイスした約2300社の計約6300社。

1213は要請先全体の2割弱だけに、まだまだ経済界全体に深く浸透したとは言い難い水準だが、同運動があくまで任意の活動である上に、宣言を出した中には各業界をリードしている大企業も含まれていることを考えると、荷主企業の意識に変化が出てきていることは間違いなさそうだ。

宣言した企業など1213の具体的内訳を見ると、その約5割に相当する643が運輸・郵便業となっている。荷主企業の主軸を担っている製造業も358で約3割に上っている。

しかし、やはり荷主企業の大きな一翼を占めている卸売・小売業は105と、運輸・郵便業や製造業に大きく引き離されたままだ。この傾向は運動開始後からおおむね変わっていない。卸売・小売業は着荷主となることが多いだけに、ホワイト物流の意図を広げるために協力を得ることが欠かせない業界ではあるが、現状を見る限り、残念ながら理解が進んでいると胸を張っては言いづらい。

卸売・小売業の中でも、既に宣言を出した中にはセブン―イレブン・ジャパンやローソン、ファミリーマート、イオン、大丸松坂屋百貨店、三菱食品、伊藤忠食品、PALTACなど大手が名を連ねている。コロナ禍で営業時間短縮を迫られるなど経営環境が厳しいことが逆風になっている側面は否定できないが、逆に言えば賛同企業を増やせるのびしろは大きいだけに、業界大手が軸となり、広範囲に同運動が広がっていく手立てを検討していくことに期待したい。

賛同した企業などの地域的な分布を見ると、最も多い東京都の301から最も少ない長崎の2まで、全47都道府県に広がっている。経済活動が活発な都市部に賛同企業などが集中するのは当然ではあるが、地方エリアでもトラックドライバー不足が見られるだけに、引き続き、地方エリアへの同運動浸透に努めていく必要がある。

「パレット活用」、荷主と物流事業者の双方で5割前後が選択

宣言は、長時間労働是正などで具体的に取り組む事項を自由に選択する仕組みとなっている。最も多いのは「物流の改善提案と協力」を除くと、「異常気象時等の運行の中止・中断等」で全体の60・0%が選んでいる。昨今の大規模な災害頻発を受け、防災意識が高まっていることをうかがわせる。

「異常気象時等の運行の中止・中断等」に関しては、特に運輸・郵便業が突出しており、68・4%と高い割合だ。半面、荷主の中核を占める製造業は57・4%、卸売・小売業は37・1%で、物流の最前線を担う運輸・郵便業とやや意識の乖離が見られる。特に着荷主となるケースが多い卸売・小売業で選択した割合が半数を割り込んでいるのは気になるところだ。

宣言を提出した全業種ベースで見ると、次に選ばれた割合が大きいのが「パレット等の活用」で48・9%だった。これは製造業(55・6%)、運輸・郵便業(48・9%)、卸売・小売業(50・5%)とそろって5割前後に達している。以前にはレンタルパレットの利用が集中して枚数が不足する事態も起きたが、今後もパレットのニーズが高まることが見込まれる結果となっており、普及に向けた準備が急がれそうだ。

全業種ベースでは、他に「荷役作業時の安全対策」(47・7%)、「独自の取り組み」(47・3%)、「運送契約の書面化の推進」(44・4%)といった項目の注目度が高いことが鮮明となった。ただ、かねて問題とされている事項のうち、「高速道路の利用」は25・4%、「運賃と料金の別建て契約」は15・3%、「物流システムや資機材の標準化」は7・8%にとどまるなど、引き続き改善が必要な実態も浮き彫りになっている。

(藤原秀行)

後編はコチラから

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