汎用性高い設計採用、オリジナルの休憩室導入しリラックスできる空間配慮も
三菱地所が埼玉県春日部市で開発を続けてきたマルチテナント型物流施設「ロジクロス春日部」が5月末に竣工した。同県内では今年3月にも同じく自社ブランドの物流施設「ロジクロス蓮田」が完成済み。都心へのアクセスに強みを持つ物流適地で事業規模の拡大が続いている。
先に竣工した「ロジクロス蓮田」はS造(一部SRC造)の地上3階建て、延べ床面積は7万9352平方メートル。圏央道の白岡菖蒲ICから約2・5キロメートル、東北自動車道の蓮田スマートICから約6キロメートル。埼玉県を縦断する国道122号線に面し、都心をはじめ東日本全体への配送対応が見込まれる。
独自の試みとして、共同部に施設利用者の利便性向上のため売店スペースを設けたほか、約500冊の書籍を備えた大型休憩室も導入している。
「ロジクロス蓮田」の外観(以下、いずれも三菱地所提供)
ボックス型でも多様な面積ニーズに対応可
一方、「ロジクロス春日部」はS造の地上4階建て、延べ床面積は3万9300平方メートル。春日部野田バイパス(国道16号線)の庄和ICから約1・7キロメートル、東北自動車道の岩槻ICから約11キロメートル、東京外環自動車道の草加ICから約15キロメートルとなっている。首都圏全域へのアクセスに優れているほか、周辺にさいたま市や川口市などが位置し、雇用確保の面でも期待できる立地。
ボックス型でもテナント企業の多様な面積ニーズに対応できるよう、上層階に屋外廊下を設けてテナントの動線を確保。最小貸付区画は約3000坪(約1万平方メートル)から最大3テナントが使える設計になっている。既に賃貸フロアの3分の1で入居企業が確定しているという。
併せて、垂直搬送機とドックレベラーは将来、各区画で1機ずつ増設できるようにするなど、汎用性を高めた造りを施している。
三菱地所グループのメック・デザイン・インターナショナルと初めて共同開発しており、休憩室は木を基調としたナチュラルモダンな空間を実現。デザイン性の高い家具やインテリアを取り入れ、従業員らがくつろげるよう配慮した。
「ロジクロス春日部」の外観
ナチュラルモダンな雰囲気を醸し出す休憩室
「藤の花」×「外郭放水路」と春日部の象徴をモチーフに採用したエントランス
環境面でも、蓮田と春日部の両施設で国土交通省が定めた「建築物の省エネ性能表示のガイドライン」に沿った第三者認証制度「BELS」を取得、省エネ性能の向上に努めている。
三菱地所が開発してきた物件は竣工ベースで現在累計18棟に上る(公表済みの「ロジスタ・ロジクロス茨木彩都」含む)。今年12月に千葉県船橋市で「ロジクロス船橋」が竣工する計画。2022年以降も神奈川県座間市の「ロジクロス座間小松原」や「(仮称)ロジクロス座間」など、相次ぎ完成を見込んでいる。
(藤原秀行)