空室率が1年9カ月ぶり10%下回る・一五不動産情報サービス10月調査結果
一五不動産情報サービスは11月30日、今年10月時点の賃貸物流施設市場の動向に関する調査結果をまとめた。関西圏の空室率は9・6%となり、前回(今年7月)から2・1ポイント下がった。4四半期連続の低下となり、2017年1月(5・5%)以来、1年9カ月ぶりに10%を下回った。
同社は調査期間中、日本GLPの「GLP枚方Ⅲ」(大阪)やプロロジスの「プロロジスパーク門真」(同)、関電不動産開発の「住之江開発プロジェクト」(同)など計6棟が完成したが、全て満床で稼働したと指摘。
「空室期間が長期化している既存物件でも稼働率が上向く事例が見られ、特に臨海部の賃貸市況は最悪期を脱したといえそうだ」と分析している。
今後については、現時点で19年の新規供給が18年から6割超減少の約30万平方メートルにとどまる見込みのため、「19年にかけて空室率は一層低下する見通し」と予想している。
10月の1坪当たり募集賃料は3460円で、前期から60円(1・8%)アップした。一五不動産情報サービスは「17年7月の3310円を底に、緩やかな上昇基調が続いている。苦戦が続いた臨海部でも稼働率が上向く物件が増え、相場も最悪期を脱しつつある」との前向きな見方を示した。
東京圏は市況の地域間格差が拡大か
一方、東京圏の空室率は5・3%で、前期から0・4ポイントの小幅上昇となった。上ったのは今年4月以来、2四半期ぶり。1坪当たりの募集賃料は4220円で、40円(0・9%)下落した。
今後の展望としては、18年の新規供給が200万平方メートルを超える見通しに加え、19年はさらにその上を行く260万平方メートル前後と過去最大を更新することが確実と分析。そのうち内陸部が3分の2を占める約180万平方メートルに達すると解説している。
同社は「足元のマーケットは総じて安定的だが、今後は地域間格差が拡大し、内陸部の一部地域は苦戦するケースも考えられる」と説明。19~20年にかけて全体の空室率は上昇するものの、物流のニーズが堅調な現状を踏まえ、上昇の勢いは緩やかとみている。
調査は延べ床面積、敷地面積のいずれかが1万平方メートル以上の賃貸物流施設が対象。東京圏は東京、神奈川、埼玉、千葉、茨城の1都4県、関西圏は大阪、兵庫、京都の2府1県。調査対象は東京圏が372棟、関西圏が103棟だった。
(藤原秀行)
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