乾汽船の定時株主総会、買収防衛策発動対象をアルファレオHDなどに限定する議案を承認

乾汽船の定時株主総会、買収防衛策発動対象をアルファレオHDなどに限定する議案を承認

米議決権行使助言会社は反対を推奨

乾汽船は6月23日、東京都内で定時株主総会を開いた。

会社側が提案した5議案のうち、現行の買収防衛策を筆頭株主の投資会社アルファレオホールディングス(HD)および同社と関係がある企業に対象を絞り込むよう変更することなどを打ち出した4議案を原案通り承認した。

従来の買収防衛策は、発動の対象を特定の企業などに限定していなかった。内容の変更でアルファレオHDへの対決姿勢をより鮮明にした格好で、アルファレオHDの反発は避けられそうにない。

新たな買収防衛策は、直近で乾汽船の発行済み株式の29・99%(議決権ベースでは31・50%)を保有するアルファレオHDなど特定グループを念頭に、30%を超える株式を取得しようとしたり、濫用的株主権の行使と裁判所が認める行為をしたりした場合に発動する。

独立委員会への諮問などを経て、対抗措置としてアルファレオHDなど一部を除く全ての株主に新株予約権を無償割り当てし、アルファレオHDの持ち株比率を強制的に引き下げることを想定している。

乾汽船は買収防衛策変更の理由について、アルファレオHDが頻繁に訴訟を提起したり臨時株主総会の招集を求めたりしてきたことに言及。大規模な株式買い付けや株主権の濫用的行使は乾汽船に直接の損害を生じさせるとともに、経営リソースの空費やステークホルダーとの関係の破壊・毀損で中長期的な企業価値や株主の共同の利益を損ねる恐れがあると主張している。

ただ、買収防衛策の内容変更については、議決権行使助言会社の米インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)が、新たな買収防衛策が現行のものと異なり、発動に際して株主総会の承認を必須とせず、株主総会決議で廃止できない点などを問題視し、反対するよう乾汽船株主に推奨していた。定時株主総会でどの程度の賛否の割合になったのかが注目される。

一方、同日の定時株主総会では、執行役員制度の導入などを打ち出した1議案が反対多数で否決された。

(藤原秀行)

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