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千葉・八街事故から1カ月、現場の献花台訪れる人途切れず

千葉・八街事故から1カ月、現場の献花台訪れる人途切れず

飲酒運転対策が引き続き急務、通学路の安全確保も

千葉県八街市で飲酒運転のトラックが下校中の小学生の列に衝突し、5人が死傷した事故から7月28日で1カ月が経過した。現場付近に設置された献花台を訪れる人は今も絶えず、子供たちの明るい未来が奪われたことへの悲しみが消えることはない。

しかし、残念ながら事故の後も飲酒運転で検挙されるトラックドライバーが出ており、その学習能力のなさと無責任さには激しい怒りを覚えずにはいられない。政府や自治体、運送業界がスピード感を持って対策を講じることが強く求められている。


現場付近に設けられた献花台

歩道やガードレールなく、抜け道で速度出して通行する車も

関東甲信越地方が梅雨明けした直後の週末の7月17日、現場を訪れた。トラックが突っ込んだ衝撃で傾いた電柱は撤去され、新たな電柱が建てられるなど、献花台がなければ、ここが事故現場かどうか一見しただけではわからないほど平静さを戻しているように見える。

しかし、献花台には山のように花やお茶などが供えられており、事故はあったのだと悲しい現実に引き戻される。その量は事故後も現場を訪れる人が多いことをうかがわせた。この日は炎天下だったが60代くらいの男性が献花台の前で熱心に念仏を唱え、亡くなった小学生の冥福とけがをした小学生の早期回復を祈っていた。

住宅地の中にある現場の道路は幅約7メートル。見通しの良い直線だが、歩道やガードレールはなく、歩行者が通るスペースを明示する線も引かれておらず、速度標識も見当たらない。抜け道として使われているようで、この日も住宅街の中にもかかわらず、かなりの速度で通行する車がたびたび見られた。

八街市や地元警察が「学童の通学路につき注意徐行」との趣旨の看板を事故前から立てていたようだが、小学生が登下校する道の割に安全対策が乏しい。そんな印象を抱かずにはいられなかった。この道を飲酒運転の大型トラックが通ったら、事故を起こさずに通行できる確率の方が低いのではないだろうか。様々なことを考えさせられる現場だった。


見通しは良いが、歩道やガードレールのない現場付近の道路

アルコール依存症対策など多角的に対策を

既に伝えられている通り、事故を起こしたトラックは運送会社が所有していたものの、運送事業用の「緑ナンバー」ではなく、自家使用の「白ナンバー」だった。そのため、法令で定めている乗務前後のアルコール検知器を使った酒気帯び確認検査義務の対象外。

白ナンバーも法令で安全運転管理者の責務としてドライバーの飲酒の有無を確認することなどを明記しているが、この運送会社の社長は主要メディアの取材に対し、安全運転管理者を配置せず、乗務前のアルコール検知器を使った検査も実施していなかったことを明らかにしている。

「緑ナンバーと白ナンバーのアルコール検査は、プロ野球と草野球ほどレベルに違いがある。今回の事故で緑ナンバーと白ナンバーがいっしょくたの扱いにされ、緑ナンバーの飲酒運転防止の努力が無駄にならないか懸念している」。ある運送事業者は怒りを込めて語る。別の運送業界関係者は「緑ナンバーでも熱心に取り組む事業者がいる一方で、性能に疑問符が付くような安いアルコール検知器を買っておざなりに検査している事業者も残念ながらいる。検知器の性能についても基準を設けるなりしないといけないのではないか」と指摘する。

赤羽一嘉国土交通相は7月9日の閣議後の記者会見で「自家用トラックの飲酒運転の対策に取り組みたい」と述べ、警察庁とも連携して飲酒運転対策を強化する意向を示した。白ナンバーに対して、緑ナンバー並みの検査義務化を求める声は運送業界からも出ており、国交省でも検討を進めていく見通しだ。もちろん、運送業界は中小事業者の割合が大きいだけに、経営に深刻な負荷とならないよう、検知器導入の支援策などを併せて考えることが必須だろう。

規制強化に加え、アルコール依存症のドライバーへの対応も考えなければいけないポイントだろう。依存症やその手前の状態にあるドライバーが円滑に治療できるよう、運送事業者への啓発活動や財政的なサポートなどを検討することが求められる。まさに行政や関係者が多角的かつ並行的に対策を講じる姿勢が不可欠だ。

今回の事故は白ナンバートラックの飲酒運転をいかに防ぐかが大きな焦点となっているが、現場の道路を見た人の多くは、道路自体の安全対策も急務と感じるだのではないか。主要メディアの報道などによれば、八街市の現場エリアでは、ガードパイプの設置などが検討されているという。通学路の安全確保となると、地方自治体では特に厳しい財政状況が大きな足かせになる場合が多いが、巨額の費用をかけなくてもできることはたくさんある。国や行政には待ったなしの課題との認識を持ち、対策を進めることを強く求めたい。


現場付近で注意喚起する立て看板。残念ながら子供たちの安全を守れなかった

(藤原秀行)

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