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【注目連載】“ウィズコロナ”時代を生き抜く!「強い物流企業のつくり方」第5回

【注目連載】“ウィズコロナ”時代を生き抜く!「強い物流企業のつくり方」第5回

「専門人財を活用しよう」

タナベ経営 土井大輔 物流経営研究会チームリーダー

新型コロナウイルスの感染拡大は、密集回避へ省人化や非接触化が不可欠な“ウィズコロナ”の世界を物流業界にもたらしました。経験したことのない地殻変動にどう対応していくのか、答えを明確に持ち、早急に対応していくことが求められています。

ロジビズ・オンラインは未曾有の難局を乗り越える強い物流企業に生まれ変わるための鍵を、タナベ経営の経験豊富なコンサルタント、土井大輔氏に紹介いただいております。第5回は混乱を打開するため、「専門人財」を活用することの重要性を解説します。


土井大輔氏(タナベ経営提供)

数合わせの採用だけではなく専門人財の確保で会社を変える

物流企業は人財のスキルと数が業績に直結する。そのため、採用についてはドライバーや庫内作業人員を重視して取り組む企業が多い。今回の提言内容は“専門人財の採用”である。

厚生労働省のデータによると、2021年3月の“自動車運転の職業”の有効求人倍率は2・12倍であり、1人の求職者を2社以上で取り合う状況になっている。

ご承知の通り、物流業界における今度のトレンドは「省人化・効率化」と「高付加価値化」である。

輸配送・保管・荷役・梱包等のオペレーション業務においては「安定品質で提供すること」が当然であり、今後は省人化・効率化のために装置産業化される対象となってくるだろう。輸配送の自動化・機械化や手続きの電子化、荷物とトラック倉庫のマッチングシステム等のデジタル化が推進されると考えられる。

代わりに、納品先の後工程を請け負う流通加工や得意先の受注管理システムとWMS(倉庫管理システム)等の連携や、中長期的な物流戦略の検討等の物流ノウハウを生かした「高付加価値化」が物流会社の目指す方向性の1つである。

有効求人倍率は「生産設備制御(機械組立)」が0・68倍、「機械組立の職業」が0・59倍、「情報処理・通信技術者」が1・26倍、「美術家・デザイナー等」が0・24倍となっている。過去に寄稿した「顧客依存率の低減」「高収益モデルの構築」の推進にも大きく貢献するにもかかわらず、目を向けていない物流企業が多いのが実態である。

出典:
厚生労働省「有効求人倍率」2021年3月分(コチラから)
国土交通省「物流を取り巻く動向と高度物流人材育成の現状」(コチラから)

後工程を請け負う高付加価値専門人財の採用・育成

物流は必ずつながっている。自社が届けた後には次の作業工程があり、異業種が提供するサービスを付加して製品となり、消費者へと近づいていく。後工程のサービスを自社対応(内製化)することで提供価値の幅を拡大できる。また、顧客のインストアシェアを高めることにもなり、自社の影響力を持つことができる。

一例を挙げれば、K社は物流会社であるが元建設土木系の人財を採用し、輸送後の“据付工事”まで対応することで高収益を実現している。(下の図参照)


(タナベ経営作成)

デジタル人財の採用・育成

内部人財に関しても同様である。物流会社は“人事・財務・経理・ITシステム・広報”等の機能をまとめて総務が担当していることが多い。会社としての重要度が低い証拠である。

例えば、2030年には国内デジタル人財が約79万人不足すると言われており、外部委託にばかり依存すると厳しい状況となることが予想される。(下の図参照)

出典:みずほ情報総研「IT人材需給に関する調査」20ページ図3-11「IT人材需給に関する主な試算結果①②③の対比(生産性上昇率0.7%、IT需要の伸び「低位」「中位」「高位」)」より(コチラから)

人事機能の強化

人事機能・採用・育成においても、従業員200名に対して1名の人事専門人財を確保するよう推奨する。人事制度見直しのタイミングであり、戦略人財・専門人財の確保を進めていくためには“人財マーケティング戦略”が必要である。単なる求人媒体への掲載だけで確保できるほど甘くはない。採用担当者も専属化し、予算配分や育成・スキルの向上が必須である。

自社の事業構造・組織構造を再認識する

闇雲に採用すれば良いのではなく、自社の事業戦略や目指す姿に沿って、強みをさらに生かす、もしくは弱みを補う等、“計画的・戦略的”に行う必要がある。そのためには自社の季節変動で落ち込む季節はいつなのか荷主はどのような業種・荷種が何%を占めるのか、顧客の先にいる顧客は誰か、顧客のライバル会社はどのようなことに取り組んでいるのか、届け先の後工程にはどのような作業があるのか等、資源を再配分する“不足”を明確にすることが必要である。

M&Aの検討

昨今はM&Aも含めた中期経営計画策定が一般的になっている。物流企業がM&Aを検討する際は、同業者(エリア展開のための物流会社買収)にアンテナを張ることが多いが、専門人財・機能をM&Aで獲得する視点も加味してほしい。職別工事業・システム会社・デザイン会社(広報)等をグループインすることで自社の高収益ビジネスモデルへの転換を検討していただきたい。

(第6回に続く)

著者プロフィール 
土井 大輔(どい・だいすけ)
大学卒業後、システム機器商社を経て2006年タナベ経営入社。自身の実績を生かし、“新規市場の開拓”“受注型産業のビジネスモデル転換”を中心に事業戦略の構築を数多く支援。「物流が世の中を支えており、最高のマーケティング機能である」と考え、15年に物流経営研究会を立ち上げた。サプライチェーン最適化を軸とした事業戦略の構築や物流関連企業の収益力強化支援の実績を多数持つ。

タナベ経営の事業承継・M&Aコンサルティングは、創業64年間で培ってきた約10000社のコンサルティング実績に基づく経営全般の視点を携えた譲受アドバイザー・譲渡アドバイザーが、両者の立場からM&A成立を支援し、あらゆる規模のクライアントに対して最適なサービスを提供している。(詳細はコチラから)

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