青森・八戸沖の貨物船座礁、流出油の回収完了めど立たず

青森・八戸沖の貨物船座礁、流出油の回収完了めど立たず

日本郵船などがオンライン会見、現場の悪天候響く

青森県八戸市の八戸港付近の海域で8月11日朝、パナマ船籍で日本郵船が洞雲汽船の関連会社から傭船している木材チップ専用船「CRIMSON POLARIS」(クリムゾン・ポラリス)が座礁した事故を受け、日本郵船などは8月13日、オンラインで記者会見を開催した。

冒頭、洞運汽船の大河内亮介専務取締役は「多大なるご迷惑をお掛けしていることを心よりおわび申し上げる」と謝罪。同船の管理を担っている美須賀海運の岩井正美社長は、船体の後部が割れ、燃料タンクから油が漏れ出していると説明。現場で回収作業を急いでいるが、悪天候が響き、完了する時期のめどが立っていないことを明らかにした。8月16日以降は天候の回復が見込まれるという。

事故現場の海域では今後、するめいかなどの漁が本格化するため、早急な油回収が望まれる。


同船の事故海域(オンライン会見の資料をキャプチャー)


座礁した同船の様子(オンライン会見の資料をキャプチャー、第2管区海上保安本部提供)

岩井社長によれば、同船はタイから八戸へ木材チップを運搬中、停泊していた八戸港内の防波堤外側で強風にあおられて座礁。自力で離礁した後、航行の継続が困難となったため、沖合に錨を降ろした。現在は同港の沖合約8キロメートル、最も近い岸から約4キロメートル付近に止まっている。

亀裂が発生した付近にあった船体後方の第3燃料タンクから、282トンの油が徐々に漏れ出しているもよう。8月13日の午前8時時点で、近隣の岸に油が漂着したことが確認されている。

日本郵船は事故対策本部を立ち上げ、現地に人員を派遣して海上保安庁第2管区海上保安本部などと連携して事故対応に当たっている。運輸安全委員会も事故を受け、船舶事故調査官を現地に派遣した。

岩井社長は、洋上に流出した油はフェンス型油吸着マットや油処理剤で回収しているほか、海岸に漂着した油を自走式のビーチクリーン機で集めるとともに作業員を投入して人海戦術で回収を目指していると説明。船体に残っている油の抜き取りや流れ出た貨物の回収なども図った上で、分断した船体を安全な場所に移す計画を明らかにした。

岩井社長は「船を集めて作業するにしても、海のうねりが小さくなって波が収まらないと作業が進められない」と解説。天候が落ち着いたら短時間でも回収などの作業に当たることができるよう体制を整えていると強調した。

(藤原秀行)

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