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物流施設の利用拡大ニーズ、今後も継続と予想

物流施設の利用拡大ニーズ、今後も継続と予想

CBREがテナント企業の特徴と動向でリポート、ECの存在感増し物流業も過半と指摘

シービーアールイー(CBRE)は9月2日、大規模なマルチテナント型物流施設に入居しているテナント企業の特徴と動向に関するリポートを公表した。

eコマース事業者の契約面積が増大しており、2021年上半期(1~6月)は前年同期とほぼ同水準で、新型コロナウイルスの感染拡大下でも需要が旺盛と指摘。半面、全国的には物流業が契約しているケースが主流で、ECに進出する小売業などが物流業を頼る場合も多いと分析しており、物流施設の利用拡大ニーズは今後も続くと考えられると前向きな見方を明らかにした。

リポートは大規模なマルチテナント型物流施設の利用状況として、16~18年は小売業・卸売業が契約面積に占める割合が平均で26%に上り、ピークの18年には10万坪に達したと分析。コンビニエンスストアやドラッグストアの出店攻勢が激しかった時期と重なると指摘、より大きな保管スペースが必要となり、配送センターの重要性も高まったと解説した。

このような小型小売店は店舗内に在庫をほとんど持たないため、多頻度少量配送が基本となり、高機能な配送センターが求められると説明。しかし、全国のコンビニ店舗数が18年の5万6574店(経済産業省「商業動態統計」より)をピークに減少し始めると、同業種による物流施設の拡大ペースは減速、19~20年にかけての小売業・卸売業の契約面積は平均3万坪に縮小し、全体に占める割合も5~7%に低下したと振り返った。

その後は、インターネット通販の利用増などでeコマース事業者が台頭したと言及。ECによる契約面積の割合は16~18年の平均12%から19年は23%に拡大し、同年の契約面積は12万坪を上回ったことを明らかにした。


首都圏の大規模マルチテナント型物流施設(LMT)契約テナントの業種分類(CBREリポートより引用)

19年は首都圏の物流施設市場が過去最高の新規需要(70万5000坪)を記録した年で、新規供給も過去最高だったにも関わらず、空室率は18年の4・8%から19年は1・1%に急低下しており、リポートは「この時期にEC事業者による物流施設の増強が本格化し、新規需要を牽引したことを物語っている」との見解を示した。

コロナ禍の20年も契約面積は19年とほぼ同等だったが、物流施設の契約面積全体に占める割合は31%に上昇。コロナ下で他業種が物流施設契約面積の拡大に慎重となった一方、巣ごもり需要によるEC利用の促進を受けて、EC各社は拡大戦略を維持した結果と総括した。

21年上半期の動向を見ると、竣工した物件のテナント業種はECの割合が20年同時期からやや下回ったが、契約面積自体は昨年のペースを上回っており、「割合の低下は他の業種のニーズが高まったことによるもので、ECの物流需要そのものは依然として旺盛と言える」と報告した。

地方都市ほど物流業の割合高く

ただ、契約テナントとして最大の割合を占めるのは物流業であることに変わりはなく、毎年5割前後の割合を維持しており、20年は54%、21年上半期は51%だったと説明。

その背景には小売業や製造業の多くが、オンラインショッピングへの対応強化を迫られており、EC対応のための複雑な物流業務を物流会社が取り込んでいると考えられることや、EC事業者が事業拡大する場でも全ての商品流通を自社運営だけでは対応しきれないため、物流企業に任せるケースが少なからず存在することがあると推察。「実際に、契約者は物流企業であるものの、荷主はEC事業者であるケースも多く見受けられる」(CBRE)。

さらに、リポートは物流業がテナント全体に占める割合は地方都市ほど高くなっていることに触れ、「物流網の構築に時間が掛かることと関係があると考えられる」との見方を示した。一例として、販売量が多い地域は、荷主は直接投資して大型の配送センターを構えることが多い半面、自社の既存物流網が手薄な地域は物流会社にアウトソースする傾向があることを挙げた。

近年はトラックドライバーの不足や労働条件改善を背景に高騰する輸送費の削減を目的として、在庫を全国に分散させる傾向が強くなっているため、特に流通量の多い食品・飲料や日用雑貨などの商品群について、物流業が地方都市で保管スペースを増強する事例が増えると予想。「ECの拡大と雇用環境を背景に、物流施設の拡大ニーズは今後も続くと考えられる」と締めくくった。

(藤原秀行)

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