日本郵船とMTI、イスラエル製自動衝突回避サポートシステムの性能検証開始

日本郵船とMTI、イスラエル製自動衝突回避サポートシステムの性能検証開始

夜間や船舶交通多い海域でも周辺の認識可能と期待

日本郵船とMTIは9月8日、イスラエルのオルカAI(ORCA AI)が開発した船舶の見張り業務をサポートする「船舶自動物標認識システム」の試作品1基を日本郵船グループ運航船に試験搭載し、同日検証を開始したと発表した。

航行中は危険な物標や他の船舶との衝突を防ぐため、航海士が双眼鏡で目視したり、レーダーなどの航海計器を用いたりして危険物標の有無を監視、状況に応じて針路変更などで回避している。

 
 

今回、新システムを用いて物標認識作業を自動化することで、運航の安全性を高められるかどうかを検証する。同システムは特に夜間や東京湾、伊勢湾、瀬戸内海のような船舶交通が非常に多い輻輳(ふくそう)海域で、人の目だけでは見落としてしまうような危険な物標や他の船舶を自動で認識できると期待されている。

同システムは昼夜を問わず撮影が可能なカメラユニットを利用して船舶や物標を自動で認識、物標までの距離を計測し、レーダーなどの航海計器から取得した船名や他の船舶と最も接近する際の距離や時間などの情報を重ね合わせ、付属のタブレットやタッチパネル式モニターディスプレイ上で統合表示する。

加えて、レーダーでは捕捉されず、AIS(自動船舶識別装置)も搭載していない小型漁船や小物標についても、同システムで独自に認識、距離計測して衝突の危険性を当直者に知らせる機能を持つ。

さらに、同システムでは船上で撮影された映像に対し、オルカAIのサーバー上でAIを用いて画像を解析、機械学習した後、遠隔で船上ソフトウエアを更新することで、認識率などの性能を向上させられる仕組み。撮影した映像のほか、航海計器の情報もオルカAIのサーバー上に送られ、映像データと併せて表示させることで、本船の動静監視や状況確認のための陸上オフィスでの2次利用も可能となっている。


搭載するカメラユニットとタブレット上のデモ画面


日中:可視カメラを用いた映像

 
 


夜間:赤外線カメラを用いた映像

カメラユニットの概要
・サイズ:高さ18cm、幅44cm、長さ35㎝
・重量:12kg
・画角:120度
・可視光カメラ3個と赤外線カメラ3個を装備
・夜間の撮影が可能
・表示部にタブレットもしくはタッチパネル式ディスプレイの選択可能

今回の検証では、NYKグループ運航船に同システムを搭載し、試験使用することで、検知能力の確認、見張り業務への寄与度、データ収集および機械学習による物標検知アルゴリズムの改善、認識率の向上の効果を見極める予定。

また、日本郵船およびMTIがオルカAIと先行して実施している共同研究では、内航の船舶に同システムを搭載し、日本近海の情報収集、日本特有の形状をした漁船や漁具・ブイの認識率向上を図り、将来的な自律運航技術への活用についても研究を進めている。

(画像はプレスリリースより引用)
(ロジビズ・オンライン編集部)

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