エンジン車の規制強化をけん制、10月めどにカーボンニュートラル実現へ提言も
日本自動車工業会(自工会)の豊田章男会長(トヨタ自動車社長)は9月9日、オンラインで記者会見し「これから(自民党の)総裁選も始まる。一部の政治家からは『全て電気自動車(EV)にすればいい』『製造業は時代遅れだ』という声を聞くこともあるが、それは違うと思う」と述べ、温室効果ガス排出削減に向けたエンジン車の規制強化の動きをけん制した。
政府が2035年までに乗用車の国内新車販売を全てEVとする方針を表明していることなどに強い不満を示した格好だ。
豊田会長は「人々の仕事などを守るために努力するのが基幹産業としての私たちの役割であり責任だ」と強調。「内燃機関は敵と言われるとほとんどの車が生産できなくなる。自動車産業が支えている550万人の雇用の大半を失う」と危機感をあらためて表明した。
政府の温室効果ガス対策に関しては「いろいろな目標を出しているが、ただ目標値を示すだけであり、日本の実情を踏まえて決められたものではなく欧州の流れに沿ったやり方だ」と苦言を呈した。
同時に、菅義偉首相が50年に温室効果ガス排出を実質ゼロとする「カーボンニュートラル」の実現を目指す方針を打ち出しているのを受け、10月をめどに自動車産業としての提言をまとめる考えも明らかにした。
日本経済新聞や読売新聞など一部メディアが、自工会が24年5月まで豊田氏の会長任期を2年間延長する方針を固めたと報じたことについては「決まっていない。報道はいつから噂話を載せるようになったのかなと私自身はちょっと疑問に思っている」と不快感を示した。
(藤原秀行)