【動画】鉄鋼製品など重量物をがっちり固定、積載効率も向上

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郵船ロジスティクスが特許取得の新技術を公開

 郵船ロジスティクスは12月13日、輸送用エアバッグと発泡スチロールの一種「EPS」を活用した新たな輸送技術を開発したと発表した。鉄鋼製品など重量物を海上コンテナで運ぶ際、荷崩れを防ぎながら積載効率を高められるのが特徴。多様なサイズの荷物にも柔軟に対応可能という。今年10月に特許を取得した。

 同社は2013年から、EPSを固定資材に用いる「ストラングシステム」を駆使した高品質な重量物輸送サービスを提供。従来の木材やベルトによる固定方法より振動・衝撃に強く、積み付けや積み降ろしの時間を短縮できる点などが強みで、輸送実績を着実に伸ばし、現在は月間で500~600TEU(20フィートコンテナ換算)を扱っているという。EPSはリサイクル可能なため、環境負荷低減も期待できる。

 今回の輸送技術はストラングシステムを通じて積み上げてきた経験とノウハウを基に誕生。発泡スチロール国内最大手の積水化成品工業とも開発で連携した。郵船ロジスティクスは既に一部輸送へ新技術を取り入れており、19年から積極的に顧客へ利用を働き掛けていく構えだ。

コイルなどをコンテナ内に斜め段積み

 同社は12月12日、横浜市の大黒ふ頭でメディア向けに新技術を公開した。新技術の利用方法は2パターンあり、1つ目は貨物とコンテナの側壁の間に2種類のEPSとエアバッグを挟み込み、動かなくするやり方だ。


EPSとエアバッグで貨物を挟み込む

 EPSには貨物やエアバッグ、側壁にそれぞれ合うよう曲面や凹凸が付けられているため、ずれずに固定できる。EPSの形状とエアバッグの空気量を調整することで、多様な大きさのコイルなどにフィットさせられる。貨物を降ろす際も、エアバッグの空気を抜いて取り除けば容易にEPSを取り外せる。


EPSにはずれを防ぐ加工が施されている

郵船ロジスティクスが開発した新輸送技術を使い、貨物を固定する作業の様子。発泡スチロールの一種「EPS」とエアバッグで貨物を挟み込む

 もう1つは大きな箱状のEPS2個とエアバッグにコイルなどを乗せて固定させるやり方だ。EPSの貨物を乗せる面には角度が付けられ、振動や衝撃で大きなコイルなどがコンテナ内で動いて傷や破損につながらないようにしている。1セットで約2トンの貨物を乗せられるという。

 このやり方を使えば、従来は大きくて1列しかコンテナに詰め込めなかったコイルなどを、斜めに段積みして2列分積載できるようになり、輸送費の削減にもつながる。


新技術でコイルを斜めに段積みし、2列分積載が可能


EPSはコンテナ側壁にしっかり食い込んで固定

郵船ロジスティクスが開発した新輸送技術を使い、コンテナ内で斜めに段積みしたコイル。2列分の積載が可能となる

郵船ロジスティクスが開発した新輸送技術の作業の様子

コンテナの側壁にしっかりフィットして貨物のずれを防ぐEPS

専用機器でジャストサイズに切断

 ストラングシステムはオーストラリアの企業が特許を保有しており、郵船ロジスティクスが独占的に使用している。コイルなどの大きさや剛性に応じて、その都度EPSを専用機器でジャストサイズに切断・加工しており、現在は横浜などの6拠点で対応可能という。


ストラングシステムによる重量物輸送


専用機器で切断されたEPS

切断・加工される前とされた後のEPS

専用機器を使ったEPSの切断作業。ワイヤーに熱を持たせて丸くカットしていく

 技術開発に携わった、同社東日本第二営業本部産業第二支店の鉄鋼・非鉄金属課に所属する細見源介氏は前職の総合商社時代から鉄鋼関連分野を担当しており、その当時から輸送品質の重要性に気付いて新たな輸送方法の考案にも積極的に携わってきたという。

 細見氏は「1つのコンテナを仕上げるスピードや工数は圧倒的に旧来の輸送方法より優位性がある。鉄鋼・アルミメーカーなどのコスト競争力向上にもつながる」と意義を強調。新技術を生かし、さらなる需要の獲得に意欲を見せている。


需要獲得拡大に意欲を見せる細見氏

(藤原秀行)

ストラングシステム導入に関する情報が掲載されたウェブサイトはコチラから

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