手動操作も可能、早期の実用化目指す
三井E&Sマシナリーとゼンリンデータコム、大分県は10月25日、遠隔で自動飛行したドローンを使い、港湾のクレーンを点検する実証実験を行ったと発表した。
今年8月2~5日、大分港のコンテナターミナルで、三井E&Sマシナリーが保有しているDJI JAPANの最新型産業用ドローン「Matrice 300 RTK」を投入し、携帯電話用のLTE((携帯電話用高速通信)回線を活用。リアルタイムでクレーンの様子を映像で確認することに成功した。
ドローンの位置制御にはソフトバンクの高精度測位サービス「ichimill」を利用した。ゼンリンデータコムはドローンの遠隔飛行ルート設定プログラムの作成を担当した。
ドローンの操縦者はコンテナターミナル内の事務所に位置。LTE回線を通じて飛行開始の指令を出すと、ドローンが自動飛行ルートに沿って港湾クレーン周辺まで上空を移動した。
腐食などが見られる箇所を詳細に見たい場合は、ドローンを自動飛行から手動飛行に切り替え、カメラを調整して現場を確認できることも実証した。LTE回線を用いたドローンによる遠隔自動点検と遠隔での手動操縦による点検の併用を実施したのは国内で初めてという。
三井E&Sマシナリーとゼンリンデータコムは大分県の協力を得ながら、ドローン遠隔点検の実用化を目指す。ドローンで自動撮影した画像は、現在開発を進めている港湾クレーン点検管理システム内で点検結果と併せてクラウドに蓄積すれば、効率的な運用管理が可能になると見込む。
実証実験箇所
事務所での遠隔操作・点検の様子
点検箇所の自動撮影画像(いずれも三井E&Sマシナリーとゼンリンデータコム提供)
(藤原秀行)