ホンダとヤマト運輸、集配業務で新型軽商用EVの実用性を検証へ

ホンダとヤマト運輸、集配業務で新型軽商用EVの実用性を検証へ

6~8月に東京・栃木・兵庫で実施、温室効果ガス排出削減効果など見極め

ホンダとヤマト運輸は4月14日、ホンダが2024年春に発売を予定している新型軽商用EV(電気自動車)を宅配荷物の集配業務で活用できるかどうか、実用性の検証を6~8月に実施すると発表した。

検証にはホンダの軽バン「N-VAN(エヌバン)」をベースとしたテスト用車両を投入。温室効果ガス排出削減の効果などを見極める予定。

検証は配送荷物が多く乗り降りの機会が多い東京23区エリア、1度の配送における走行距離が比較的長い栃木エリア、坂が多くアップダウンのある兵庫エリアの3カ所で展開。それぞれのエリアの特性に合った運行ができるかどうかも見極める予定。


実用性の検証で使用するテスト用車両(両社提供)

ホンダは2050年に同社が関わる全ての製品と企業活動を通じたカーボンニュートラルの実現を目標に掲げている。

一方、ヤマトグループは「2050年温室効果ガス自社排出量実質ゼロ」と「2030年温室効果ガス排出量48%削減(2020年度比)」の実現に向けた施策の一環として、30年までにEV2万台を導入することを目指しており、小型トラックを中心にEVの採用を進めている
。環境負荷低減の思惑が一致した。

環境負荷軽減効果の検証に加え、集配業務における実用性や車両性能をチェック。さらに、充電オペレーションを含むエネルギーマネジメントに関する各種基礎データを取得し、より実用性の高いEVの運用に役立てていくことを視野に入れている。

検証ではヤマトが導入を進めている小型モバイル冷凍機「D-mobico」を荷室に2台搭載し、冷蔵・冷凍品の配送にも対応。「D-mobico」は、モバイルバッテリーで駆動し、ドライアイスを使用しないため、より環境に配慮した配送を実現できると見込む。

■概要
期間:2023年6月1日(木)~8月31日(木)(3カ月間)
車両台数:3台
実施エリア:ヤマト運輸 中野営業所(東京都杉並区)
      ヤマト運輸 宇都宮清原営業所(栃木県宇都宮市)
      ヤマト運輸 神戸須磨営業所(兵庫県神戸市)

■検証内容
(1)環境負荷軽減効果の検証
(2)集配業務における実用性や車両性能の検証

 - 車両の使い勝手や、航続可能距離など、EVならではの実用性の検証
 - ドアの開け閉めや、乗り降りが多い集配業務を通じた車両の耐久性の検証
 - 様々な特徴を持つエリアでの車両性能の検証

 ・配送荷物が多く乗り降りの機会が多い東京23区エリア
 ・1度の配送における走行距離が比較的長い栃木エリア
 ・坂が多くアップダウンのある兵庫エリア

(3)EV運用における各種基礎データの取得・検証

– 日々の集配業務における車速、アクセルやブレーキなどドライバーの運転操作や、空調による電力消費量、走行後の充電量や充電時間帯などの各種基礎データの取得と、複数台のEV運用を想定した充電オペレーションとエネルギーマネジメントの検証

ホンダは今回の実用性の検証のほかに、冬季の集配業務を想定した、外気温が氷点下になる寒冷地での充電・走行テストなど、様々な環境で検証を実施している。商用EVとしてより実用性の高い軽商用EVの開発・普及を目指す。


雪上での走行テストの様子(両社提供)

(藤原秀行)

テクノロジー/製品カテゴリの最新記事