与信データ作成、マイクロファイナンスなど可能に
貿易業務をインターネット上で処理、効率化することが可能なサービス「DiGiTRAD(デジトラッド)」を運営しているスタートアップ企業のSTANDAGE(スタンデージ)と衛星データ解析システムの開発を手掛けるスペースシフトは11月18日、ナイジェリアで農地衛星情報を使ったマイクロファイナンス(小口融資)サービスの開発を始めたと発表した。
独立行政法人国際協力機構(JICA)の「途上国ニーズと民間技術マッチングに係る情報収集・確認調査」に同サービスが採択された。
ナイジェリアの小規模農家は経済的な理由から農機の購入が難しく、与信がないため銀行から融資を受けられないことから、手作業による非効率な農業を強いられ、貧困状態から抜け出せないという悪循環に陥っている。
両社は問題解決のため、低所得者層の農家がマイクロファイナンスや貯蓄などを利用できるようにし、効率的な農作業の促進と貧困緩和に寄与するサービスを始めることにした。2021年度中にサービスを構築、23年度中にナイジェリアの小規模農家2000万世帯の10%に当たる200万世帯でのサービス導入を目指す。
スペースシフトは、地上観測衛星から得た画像をAIで解析、ナイジェリアの農家の作業進捗や農作物の生育状況をデータ化する。STANDAGEはデータを基に農家の信用スコアを作成、ブロックチェーン上で与信管理を行うとともに、与信データを生かして出資先の農家の与信審査を行うマイクロファイナンスシステムを構築・運用する。
与信審査を通過した農家への支援として、まず日本製の農機具や収穫向上のための肥料など資材を提供する予定。その後は実績のある農家から資金提供に移行していくことを想定している。
両社は世界で初めて、衛星データとブロックチェーン、農業資材提供を組み合わせ、アフリカ農家の農業 DXを推進。農作業の効率化や収穫量の増加などを後押しする。
新サービスのイメージ(両社プレスリリースより引用)
(藤原秀行)